フィクション

シンプル・プラン / スコット・スミス

2015-02-03

本書は、ある男が意図せずしてどんどん道を誤っていく物語である。

 

主人公は30歳のハンク。生まれ育った田舎町で堅実に働いており、妻のサラにはもうすぐ子供が産まれる。
その日彼は、3歳年上の兄ジェイコブと、ジェイコブの友人ルーともに墓参りに向かう途中、墜落した小型飛行機を発見する。パイロットは墜落で亡くなっており、その傍らには100ドル札の束がたくさん詰まったダッフルバッグがあった。お金は全部で440万ドル以上だ。

無職の兄とルーは慢性的に金に困っていた。ハンクは半ば押し切られるような形で、そのお金を自分たちのものにしようとする。
だが、金に困っているはずのジェイコブやルーが100ドル札を派手に使えば、誰もが不審に思うだろう。それにこの金はどんな危ない金かわかったものではない。

ハンクは捕まる危険のない方法を思いつく。
誰かがこの墜落した飛行機を発見するまで、金を寝かせておけばよいのだ。その時、金のことが話題に登らなければ、三人で山分けしそれぞれが別々の道を歩けばいい。
少しでも危険な兆候があれば、金は焼き捨てれば証拠は残らない。

それは、シンプルなプランのはずだった。だが同時に悪夢の始まりでもあった。


本書の恐ろしさは、ハンクやその妻のサラがいわゆる「ごく普通の人」であることだ。
だが、そういう普通の人も一旦道を誤ると迷路にはまり込み抜け出すことは困難になる。

彼らのなした犯行はまさに「鬼畜の所業」だ。
しかし、罪を重ねている最中でさえも彼にとっては充分筋の通った理屈があり、自分自身は決して「悪人」ではないと思っている。

ハンクの行いを恐れ半ば呆れつつも、どこかでその心理に共感してしまっている自分が怖くなる。
自分の中のそうした弱さを恐れるのは私だけだろうか。

人というものはこんなふうに道を踏み外していくのかもしれない。そしてその引き金の最たるものが「金」だ。
大金を目の前にすると大抵の人は変わる。
昔、バブルの頃、城⚪︎電機という会社の社長がよくテレビに出ていたのだが、彼は商品を全て現金一括で仕入れていた。そのため常に数千万の現金をアタッシュケースにいれて持ち歩き、取引先の目の前に現金を積んでみせることで、かなりの額の値引きを成功させていた。
「現金を前にすると、人の心は変わる」というのは、二言目には彼が口にしていた言葉だった。

皮肉なことにブリテッシュ・コロンビア大学が先に発表した研究によれば、お金は幸福よりも悲しみとの関係のほうが深いという。

 

 

 

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    数万株買って一円を抜くことに集中・・無茶というか自分はバカかも。

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    > 数万株買って一円を抜くことに集中・・無茶というか自分はバカかも。
    あ、naoさんお久しぶり!
    スカイマーク参戦ですか。プロですね。
    しかし昨日17円で今PTSで32円なら、結構儲かってる人もいそうですね。

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