翻訳ミステリファンにはお馴染み、デヴィッド・ゴードンの「用心棒」の第二弾。
上川隆也主演で映画化もされた「二流小説家」などは、多分好き嫌いが分かれる作風で、しばらくその冗舌路線が続いたが、「用心棒」は割と万人受けする感じかな。
舞台はニューヨーク。
主人公のジョーはアイルランド系白人で、ストリップ劇場の用心棒だ。時々アルバイト的に強盗だとかにも手を染めている。
前作では、なんだかんだとあって、ニューヨーク暗黒街のボスたちから、裏社会の保安官とみなされるようになった。
・・・で、今回はそのボスたちからかなり面倒くさい依頼を受けるというオハナシ。
ドミニカ系麻薬組織のボス、リトル・マリアの元に、極めて純度の高いヘロインを買い取ってくれという商談が持ち込まれた。
その相手はアルカイダ系テロ組織だ。もともとそのヘロインはマリアの昔馴染みの取引相手から強奪されたもの。しかもダイヤモンドでの支払いを要求してきたのだ。
取引に乗って支払えば、テロ組織に資金提供するのと同じ。そうすればニューヨークはまたもや混乱に陥るだろう。裏社会のボスたちにとってもいいことではない。
そこで白羽の矢が立ったのが、ジョーだったのだ。元陸軍特殊部隊にしてハーバード大学の奨学金を勝ち取る頭脳の持ち主。
相棒には前回タッグを組んだロシア人金庫破りの麗しきエレーナと、ITに強い黒人少年ジュノ。
彼らに課されたミッションは、まずダイヤモンドを強奪し、テロ組織と取引し、そのダイヤモンドを再び取り返すこと。
それだけでもかなりな難題なのに、ジョーに恨みをもつ人物までもが復讐のチャンスとばかりに乗り出して・・・
まあ、前作同様ハチャメチャで面白いです。
こればかりは、第一作目の「用心棒」から読んだ方が絶対いい。
かくいう私も、「続・用心棒」に当たって、「用心棒」を読み返しましたw
ゴードン作品の面白さは、突拍子もないストーリーはもちろんだけど、人物に宿る。
まあ、まともな人は一人もいないw
そして、それぞれが悩みを抱えてもいる。
言うなればクライム小説でもあるが、どこかユーモラスでスタイリッシュで、でも少し物悲しいところもありの傑作エンタメ。
GWもStay Homeを余儀なくされ、鬱々としがちな昨今。
ニューヨークのダイヤモンド・ディストリクト(ダイヤモンド問屋街)を、カツラと髭で変装したジョーと、ケバめに着飾ったエレーナが腕を組んで歩く姿を想像するだけでも楽しくなる。
次作は絶対あると確信を持って言える。
でも、今回のタイトルが「続・用心棒」なわけけど、次はどうするのか?
もしかして「続・続・用心棒」とか?
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