フィクション

暗殺者の復讐 / マーク・グリーニー

2014-12-04

人気のグレイマン・シリーズの第四弾。
これまでのまとめはこちら

 

グレイマンことコート・ジェントリーは元CIAの殺し屋。
周囲に溶け込み人の印象に残らないことから、グレイマン(目立たない男)と呼ばれている。
古巣のCIAからは「目撃次第射殺」という指令が出されており、他にロシアマフィア、フランスの巨大軍事企業、メキシコの麻薬カルテルから命を狙われている。

今回ジェントリーはその脅威の一つ、ロシアマフィアのシドレンコ殺しを決意する。

物語はサンクトペテルブルグにあるシドの館を襲撃するところから始まる。
シドの手下とシド本人を仕留めたグレイマンだったが、館を後にしたグレイマンだったが、CIAからその闇資金で後ろ暗い仕事を請負う民間企業タウンゼンド社に、一挙手一投足を監視されていた。タウンゼンド社は高額の報酬でグレイマン暗殺を依頼されていたのだ。

グレイマンは追っ手を逃れ、エストニアのタリンに身を潜めるが、タウンゼンド社の独行工作員デッド・アイにその行動を読まれていた。
デッド・アイもCIAの独立資産プロジェクトによって生み出された暗殺者で、二人は思考や行動パターンが似ているのだ。
だが、デッド・アイはここで意外な行動に出る。グレイマンを危機一髪のところで助け、チームを殲滅しようとしたのだ。デッド・アイの目的は?

同じ頃、イスラエルの情報機関モサドは、グレイマンがイスラエル首相暗殺を目論んでいるという情報を掴み、タウンゼンド社と共同でグレイマン狩りに乗り出す。

グレイマンシリーズも、はや4作目。
翻訳ミステリー大賞コンベンションで、北上次郎さんが「超オモシロ〜〜〜!」と声を裏返らせて絶叫していたのが始まり。
強力な応援団を得て、人気のシリーズになった。

確かにアクションシーンは迫力満点だ。これに文句がある人はいないと思う。著者の戦闘オタクぶりも筋金入りなのだ。ほんと張り切りすぎ。

でも、全体的にはそれほどかなぁとも思ってた。
というのも、グレイマンは暗殺者にしては、お人好しで感情に流されやすく、人を殺しておきながらも妙に正義に拘るという矛盾を抱えているからだ。

現実世界なら、彼はおそらくすぐに死んでしまうだろう。物語でも死にかけは毎度のことであるが。
ただ、それがこのシリーズの魅力でもある。

早川書房はこのシリーズに「暗殺者⚪︎⚪︎」という通し番号をつけているが、第1作目以降は結局のところは、敵から逃げ食いつなぐのに精一杯。暗殺者というより逃亡者というほうがふさわしかった。

ただ、ここにきてようやく変わってきた。
仇敵たるCIAとの関係においてもターニングポイントとなる物語になっている。ようやく反撃を開始する。

そして、今回のグレイマンはいつになく内省的で、彼の孤独や哀しみが染み込んでくる。

読者としては、ようやくのことで溜飲がおりそうな予感もするが、しかしそう簡単にいかないのがグレイマンの人生で・・・

 

 

 



 

 

 

 

 

 

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