「ザ・プロフェッサー」 シリーズ第三弾。
アラバマ大学の法学部教授トム・マクマートリーが主人公のリーガルミステリ・シリーズ。
第一弾の「ザ・プロフェッサー」 は大筋トムが教授の座を追われ、弁護士として復活するまでを描き、第二弾の「黒と白のはざま 」は、「ザ・プロフェッサー」 大活躍した教え子の黒人弁護士ボーフェスの冤罪をはらすというオハナシ。
トム及び登場するトムの教え子は、アラバマ大学のフットボールチームのOBという設定なので、チームスポーツ特有の「ワンチーム」感が強くややうざい面もあるが、割と正統派のリーガルスリラー。
本書単独で読めなくはないけど、これに関してはダイレクトに第一作目とつながっているため、最初から読んだ方がいいかも。
今度の裁判は誰がみても勝ち目のないものだった。
被害者は「ザ・プロフェッサー」 の時にトムが刑務所に追いやったトラック会社の経営者ウィリストーン。彼は仮釈放されて間もなく殺害される。
逮捕されたのは、ストリッパーで売春婦のウィルマ。彼女の夫はあの事件で死んだ運転手。彼女はウィリストーンのための偽証と引き換えに金をもらう約束だったが、裁判に負けたことで生活は一変し地に落ちていた。
ウィルマには動機こそあれアリバイはない。検事は教え子でこれまで協力関係を培ってきたコンラッド。彼には今回は絶対負けられない事情がある。加えて判事はトムに恨みを持つポー。しかもトムの身体にはまたしても病魔の手が。四面楚歌の中、トムの最後となる裁判は・・・
前二作は善悪がガチっと分かれており、苦戦するものの最後には正義が勝つというパターン。
単純に見えるが、実はスポーツ観戦とかで一番感動させるやつ。ちなみにナダルに名試合が多いのは、サクサクと簡単に勝た(て)ないから(苦笑)
これもその類の小説で、古典的な裏切り、友情、信頼といった要素てんこ盛り。ベーシックこそ面白いの典型。
理想主義的、予定調和的と言えばそうかもしれない。けれど、閉塞的な日常を強いられる今だからこそ、こういう小説は求められるし、好まれるのだろうな。
ただ、今回に限っては少し毛色が違うのかな。
正義ってなんなんだろう。正しいことってなんなのだろうね。
ちょうど同時進行で真山仁の「ロッキード」を読んでもいたので、余計にそのことを考えてしまった。
各々の道徳と法は違うし、アメリカのドラマや小説はこういうのが多いけど、少しモヤモヤ・・・。
ところで、タイトルの「ラスト・トライアル」とは文字通りトムの最後の裁判という意味。
トムの身体のことを鑑みても、一旦これでシリーズは幕を閉じそうだが、著者後書きを読むとまだ続きそう。
回収してない伏線もまだあるし、次で暴君判事のポーの件も含めて解決するといいな。
コメントを残す