ガブリエル・アロンのコンクラーベ!「教皇のスパイ」

イスラエルの諜報機関長官ガブリエル・アロンのシリーズ最新作。


教皇のスパイ 〈ガブリエル・アロン〉シリーズ (ハーパーBOOKS)

最新刊が出るたびに、米国でのベストセラー1位となり、シリーズ最高傑作というキャッチコピーに彩られるほどの人気シリーズ。
本書が最高傑作か否かは、読み手によって受け止め方も違うだろうけど、シリーズを通してレベルが高く秀作揃い。

残念なことに、日本では全ては刊行されていない。最初の方は歯抜け状態で論創社から出ているのだが、電子版もなくてハードカバーのみ。
ただ、「亡者のゲーム」からは版元が変わって文庫になり、価格的にも買いやすくなった。
全部読んでいるけど、私は「英国のスパイ」が一番好きです。

さて、本書はタイトルの通り、ローマ教皇を選ぶコンクラーベがテーマ。

イスラエルはユダヤ人の国。バチバチのイスラム諸国と異なり、キリスト教の多い西欧諸国との間にはさほど問題を抱えてないのでは?と思いきや、そっちかー!な展開。ユダヤ受難の根本に迫る問題を取り上げている。

コンクラーベといえば、ダン・ブラウンの「天使と悪魔」だが、どちらかといえば、ウンベルト・エーコの「プラハの墓」を思い出させた。


毎度のことながら、くどいほどフィクションを強調しているが、ヴァチカンが抱える闇や、欧州のどの国でも台頭著しい右派勢力、根深い差別等々、今日のタイムリーな問題に焦点が当てられており、今回は特にメッセージ性が強い仕上がり。

手嶋龍一氏が、ジョン・ル・カレの小説や、BBC制作のドラマ「MI5」は英国諜報機関の広報活動の一環であり、ル・カレは引退してもスパイだし、そもそもスパイに引退はありえないと言っていたが、ふと思うに、この小説もそういう面があるのかも・・・
ダニエル・シルヴァはユダヤ系米国人だし、このシリーズを読んでいると、イスラエルやモサドの言い分も分からなくはないなぁという気分になる。

それでいて、歴史的謎の探究も、ロマンチックな要素?もあり、エンタメとしても非常にバランスがいいのだ。
ヴェネツィアやローマの街角といった背景も非常に絵になる。

また、ガブリエルが絵画修復のプロということもあって、絵画も多く登場するのも、このシリーズの魅力。
コロナのせいで中止になったカラヴァッジョの「キリストの埋葬展」観たかった!!!

しかし、ガブリエル・アロンは最初は暗殺者に過ぎなかったのに、今や長官で、その任期もそろそろ終わろうとしているとは・・・
長く続いたけど、そろそろこのシリーズもフィナーレを迎えるのかな?

 

 

 

 

 

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