フィクション

さよなら、ブラックハウス / ピーター・メイ

2014-11-25

11月最後の三連休、皆様いかがお過ごしだっただろうか。
みなとみらいは買い物客でメチャ混み。企業のボーナスも増加傾向にあると聞く。私はディーラーと家具屋めぐり。車とベッド、どちらもそろそろ買い替え時なのだ。
先立つものはないのだけれど・・・

さて、連休中読んでいたのはピーター・メイ『さよなら、ブラックハウス 』と、『脳科学は人格を変えられるか?』という本。


本書『さよなら、ブラックハウス 』は、英国スコットランドの過疎の島、ルイス島を舞台にした小説だが、当初イギリスでは版元がみつからず、フランスで出版したのだそうだ。
しかしフランスでは刊行されるやいなや高評価を得てイギリスでも刊行され、一躍ベストセラー入りしたという。
ル・アーヴル“黒い錨”ミステリ・フェスティヴァル賞、CEセザム文学賞、LP賞、バリー賞を受賞している。

主人公は事故で息子を亡くしたばかりのエディンバラ市警の警部フィン。そんな彼に上司からルイス島での殺人事件の捜査の命がくだる。

ルイス島はスコットランド北西岸に位置する小規模な農業や羊の放牧が行われている島だ。ハリス・ツイードで有名なハリス島とは地続きで、南部がハリス島,北部がルイス島と呼ばれている。

ルイス島はフィンの故郷だ。
そして被害者は昔なじみの男で地元の嫌われ者、アンガス・マクリッチだった。
マクリッチ殺害の手口は、フィンが担当していたエディンバラで起きた殺人事件のそれと酷似していた。そこで上司はフィンに白羽の矢を立てたのだった。

島へ帰郷するのは18年ぶりのことだった。島でのフィンの相棒は、地元のジョージ・ガン刑事。
マクリッチは多くの人間から恨みをかっていた。ごく最近も、”グーガ狩り”をめぐり、動物愛護運動家に暴力事件を起こしていた。”グーガ”とはゲール語でシロカツオドリの幼鳥を指す。
地元の男たちは毎年8月になるとルイス島の北部の岩場に行き、二週間かけてこの鳥を狩るのだ。かつては村民を養うために行われていたが、今は法律で年間の狩猟量が決められている。だが、汁気の多いクーガの肉は、村では大変な人気があるのだ。

捜査を続けていくうちに、フィンは幼馴染みたちと再開する。そして、フィンが封印していた過去の出来事が明らかになったとき、事件の真相が明るみに出るのだが・・・

 

ラストには意表をつかれる。
「苦く切ない青春ミステリ」などと簡単に評してはいけない気がする。

誰にでも幼馴染みはいるものだし、誰しも自分を守るために記憶の隅に追いやってしまっている秘密の一つくらいはあるだろう。それが人間の記憶のシステムなのだ。
そして、近しい関係であればあるほど、憎悪も膨らみやすいものだ。

救いとなっているのは、訳者もあとがきで指摘している”ルイス島の自然描写の美しさ”だ。
シロカツオドリの鳴き声が聞こえ、海の深い青さが目に浮かんでくるようだ。
いっとき清涼な気分にさせてくれるが、同時に美しさが物語の悲劇性を引き立ててもいるとも言えるが。

さらに驚いたことに、なんと本書には続編があるという。
これはこれで終わったほうが良い類いの物語のような気がするのだが、現在シリーズ三作まで刊行されていて、なんとイギリスではシリーズ累計100万部なのだとか。

ただし、日本語版がでるかどうかはわからないけど。

 

 

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