土砂降りの『彼女のいない飛行機』読書会

夕方から横浜は土砂降り!
雨男(女)は誰だ?

そんな雨にもかかわらず、今日は満席以上で大人数の大盛況だった。
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そして、大荒れのお天気にふさわしく酷評の嵐…

なんと平均点は4.3点!!!(10点満点中)
最高点は8点、最低点はマイナス2点!

久々にマイナス点もでた。あの「シンプル・プラン読書会」を下回った。
※以下、ネタバレあります。

 

 

 

<悪かった点>
*グラン・デュックの手記は、出し惜しみしすぎ
*演出過剰
*無駄に長い(半分くらいでよかったのではないか)

案の定、グラン=デュックの手記に対する批判が多かった。無理やり過去と現在を交互に語らせるいう手法をとっているので、不自然さが鼻についた人が多かったようだ。

*主人公マルクの行動原理がよくわからない
*共に育った妹(血はつながっていないが)に手を出すマルクがキモイ
*マルクがバカすぎる

マルクは一刻も早くリリーの出生の秘密を知らなければならないのに、なぜわざわざ最初から読むのか?結論が知りたければ最後から読むでしょ。
(う〜ん、そうすると過去と現在を交互に描いていくという手法が使えないからなぁ…)

*リリーの人となりが全くわからない(人物が書けていない)
*リリーが無駄に高スペック
*登場人物に感情移入できない
*実母の存在が薄すぎる、実母薄情すぎ。
*本筋と関係ない枝葉が多すぎる
*探偵の行動が支離滅裂
*後半が適当すぎ

*ミステリとして体をなしていない
*リズ=ローズか、エミリーかという謎なのに、どちらでもなかったという答えはずるい

タイトルが『彼女のいない飛行機』だったので、私は最初からリリーはリズ=ローズでもエミリーでもない誰かなのだろうとは思っていた。そもそも最初からミステリ性もへったくれもない。
物語の本筋よりも、なぜそんなタイトルにしたのかのほうがミステリー。
(ちなみに英語版は「After The Crush」に改題されている)

しかし、ここでタイトルの謎に新説登場!
Tさん曰く、あのタイトルの「彼女」というのはリズ=ローズの姉のマルヴィナだというのだ。装丁のこげ茶の目の女の子も、タイトルにある「彼女」もともにマルヴィナを指すのだと。

なるほど!と思いきや、マルヴィナが主人公で物語が彼女の視線で描かれているならいざ知らず、脇役扱いですし・・・
どちらにしてもモヤモヤ。

他にも本書には欠陥箇所が多々ある。
例えばリズ=ローズがなぜトルコのバザールで売っているベビー服を着ていたのかとか(トルコの自宅に残されていた服は高級なものばかりだのに)、実母がリリーにリズ=ローズの服を着せ替えるとき、どうしてブレスレットもつけてやらなかったのか。
伏線のつもりで投げかけたのかもしれないが、全く回収されずほったらかし。
本格ミステリ好きな人からは大ブーイングだった。

*(著者の)女性への視線がイヤらしい
*著者の視点は古い

古いのは確かに古いかも。
だって、この題材は昭和の時代に大映がヒットさせた百恵ちゃんの「赤いシリーズ」そのままなのだから。

個人的には大昔の東宝ドラマ的なテーマも懐かしかったし、航空機の墜落事故自体も87年の日航機の事故を思い出させ感傷的になった。

時間の経過とともに風化しつつあるが、あの不幸で悲劇的な事故も、多くのドラマを生んでしまったのだろう。

*フランス人の書く小説にでてくるフランス人が嫌い
ちなみにこの日の私たちのテーブルの担当のお姉さんはかわいいフランス人の女の子。性格もとても良さそうだった。
オーダーは覚えられなかったけど。

 

<よかった点>
*前半は青春小説みたいでよかった
*マティルドがロミー・シュナイダーっぽい
*中だるみしない
*マルヴィナがかわいい

良かったところが少なすぎる・・・
しかし、そもそもフランス人に精度を求めてはいけないし、B級ドラマは突っ込みどころ満載でなんぼだ。

ただそ、「スティーグ・ラーソンの小説を彷彿とさせる」とか「フレンチミステリのエスプリを極めた」とかいうのには意義あり。
金字塔でもエスプリでもないし、ラーソンとなんて比べてはいけない。彷彿とさせるのは大昔の東宝大映ドラマなのだから。

それにしても、横浜読書会の女性陣は、悪口を言っているときは、なぜにあんなにテンションが上がるのか・・・(笑)

感想もまた土砂降りでした。

来月の課題本は、『鷲は舞い降りた』だそうです。

 

 

 

 

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