週末の読書会の課題本は、フレンチ・ミステリの『彼女のいない飛行機』 なので、日曜にダダダダダ===と読んだ。
さて、物語は1980年のに起きたイスタンブール発パリ行きのエアバスの墜落事故に始まる。
乗客乗員は全員死亡したものとみられたが、駆けつけた救援隊は傷一つない女の赤ちゃんを発見した。フランス人らしい真っ白い肌に、真っ青な目のその女の子は、まさに「奇跡の子」だった。
ところが、墜落した飛行機には、ほぼ同時期に生まれた二人のフランス人乳児が乗っていたのだ。
一人はフランスを代表する大企業のカルヴェル家の孫娘リズ=ローズ・ド・カルヴィル、もう一人は漁師町ディエップの海岸の改造したトラックでフライドポテトやソーセージを販売しているヴィトラル夫妻の孫のエミリー・ヴィトラル。
ともに金髪で同じ血液型、おまけに赤ちゃんの顔をよく知る両親は事故で亡くなっており、見分けがつく者はない。
カルヴェル家とヴェトラル家の祖父母は、ともに「奇跡の子」は自分たちの孫だと言って譲らない。当時はまだDNA鑑定は確率しておらず、やがて裁判へと発展してしまう。
時を下って18年後、カルヴェル家に雇われ18年にわたって「奇跡の子」は一体誰なのかを調査していた探偵のグラン=ディックは、当時の新聞のなかに真実を発見する。
↑ リリーのもうひとつのニックネームである「トンボ」のもとになったCharlelie CoutureのComme un avion sans aile
帯には「フランス・ミステリ界の金字塔」とか、「スティーグ・ラーソンを読んだ興奮を蘇らせる」とか「フレンチ・ミステリのエスプリを極めた」とかいうキャッチがあるのが、比較的オーソドックスなドラマ系だった。
ネタ自体も韓流ドラマとかにもよくありそう。
一方は大金持ちの家で、もう片方は貧しい家とか、兄妹が抱いてしまう恋愛感情とか。
また、グラン=ディックの手記は、探偵の手記にしては玄人くさく、演出過剰な感もある。これについてはきっと賛否あることだろう。
この小説は、他にももっと色々と「それって、どうなのよ?」というところが多くあるのだ。しかし、難点は多いものの、魅力があるのも事実である。
人が良さすぎるような青年マルクのリリーに対する一途で純粋な想いは、中年のオバさんにはまぶしかったし、リズ=ローズの姉のマルヴェナのキャラクターがなかなかいいのだ。
カルヴィル家に生まれながらも、妹を思うあまり”成長を拒否”し、祖母から「精神病院にいるべき」と言われるほどの彼女なのだが、最後は好きにならずにはいられない。
なんだか懐かしい雰囲気だなぁと思ってたら、百恵ちゃんの赤シリーズではないか。主人公にかならず「出生の秘密」があり、異母兄妹による恋愛に悩んだりもしていたのも同じだ。
余談だが、リリーは青い目なのに、どうして装丁はこげ茶の目の女の子にしたのかと思ったのだが、もしかして、あれは6歳のときのマルヴィナ?
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