東芝消滅 / 今沢 真

真央ちゃんの引退発表の裏で、あの東芝が、スゴいことになってる。

 東芝は昨日、監査法人の承認のないままに期限ギリギリになって四半期決算を発表した。しかもこの決算は、二度も延期された挙句のことだった。
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「意見不表明」という耳慣れないこの言葉は、会計監査法人が監査報告書に「意見」を表明しないことをいうそうだ。監査法人が、会計記録が不十分だったり、監査証拠が足りないとみなしているということで、つまり、この決算書は「信用に値しない」ということだ。。
あるメディアは、白紙答案を提出したようなものだとたとえていた。
そんなスゴイ決算書を、一部上場の名門企業の東芝は提出したのだ。この行為は東京証券取引所の上場廃止基準に抵触する。
なかなか勇気があるというか、名門企業だから許されると奢っているのか、はたまたもうそれしか手段がなかったのか。
 
このセンセーショナルな出来事に、メディアはこぞって東芝の「上場廃止リスク」をぶち上げている。昨晩は「クローズアップ現代プラス」でも東芝ネタが取り上げられていた。時間の都合上、その内容は消化不良で物足りない部分も多分にあったが、よくまとまっていたと思う。
本当に、真山仁氏のいうとおり、そもそも東芝は本来メーカーなのだから、物作りに専念していればよかったのだ。
なんか、また小説のネタになりそう。
 
 
さすがに今日の株価はナイアガラだろうと思っていたが、一筋縄ではいかないのが相場。
なぜか、今現在、東芝株はヨコヨコ一時プラ転してもいるが、日経爆下げ。
 
欲望渦巻く市場では、こういう摩訶不思議なことが多々起こる。
こんな鉄火場をくぐるようなお金も度胸もないので、私は傍観しているのみだけど(苦笑)だが、銀行株が大打撃を受けているのは痛い。
 
東芝ほどの巨大企業ともなれば、メガバンクをはじめとして地銀、信金、信用組合にJA系とあらゆるところと繋がりがある。東芝が死亡すれば、融資額の大きいメガバンクだけでなく、体力のない小さいところはモロにその波をかぶる。
巨大企業ゆえに利害関係者も多い。
 
それとともに、東芝の暴挙と東証の不甲斐なさに呆れた外国人投資家が東証から資金を引き上げれば、これ、かなりやばいやつのような。
ニホン、ダイジュブ???
 
 

さて、そんな東芝危機のこれまでの経緯を俯瞰して説明してくれているのが、本書「東芝消滅」である。
消滅とは、なんともすさまじいが、今となってはさもありなん。

今問われているのは、東芝という会社の存在意義なのだ。
 
本書のいいところはその情報の鮮度だろうか。
本書は、毎日新聞の運営する「経済プレミア」で連載されている「東芝レポート」を出版したものだという。
この「東芝レポートシリーズ」はこれまで2冊出版されていて、本書は3冊目だそうだ。
 
 
東芝危機が決着をみるまでにどのくらいかかるかはわからないが、もしも目処がつき始めたら、もっと踏み込んだ内容の本が出版されることだろう。
検証も進むだろうし、後付けだからこそ言えることは多い。
 
でも、今、疑問を解消したかった。
バレンタイン会見でなぜ突如として7000億もの損失が出てきたのか?
東芝は1年前に危機に陥った時、メディカル部門をキャノンに高く買ってもらうことで、それを乗り切ったのではなかったのか?
そう熱心に新聞を読まないせいで事情はわからないが、著者によれば取材の最前線にいる記者たちもそれは同様だったという。なぜなら、東芝からそれらしい説明は全くなかったからだという。
 
東芝がなぜこんな自体に陥ってしまったのか、おぼろげながらわかってきたのは、一言でいえば、ウェッチングハウスという名門出身の青い目の嫁を貰ったこと、それ自体が間違いだったということだ。
当時東芝とWHの買収を争った三菱重工の当時の会長は、「あの買収額では採算はとれない。そういうところと組むと我々が危うくなりかねない」と言ったとか。その言葉を裏付けるように、買収額は当初いわれていた金額の2倍を超える額だったという。
 
しかも、身の丈にあわない婚約指輪と莫大な結納金を積み苦労して手に入れたWHは、実は老いた借金まみれの女だったのだ。
しかも、東日本大震災の福島原発事故を境に原発をめぐる状況は一気に悪化していく。
そのうえ、技術は錆び付いているくせにプライドだけは高かったWHを、東芝は全く制御できなかった。結局、チャプター11を申請したWHだが、その親会社としての東芝の負債はまだまだ膨らむ可能性さえあるという。
 
東芝の一番の敗因は、この著者のいうように「引き際の悪さ」だろう。
いまさら遅きに失した感もあるが、早期に失敗を認め、原発事業から撤退していれば、ここまでのことにはならなかったのかも。
 
規模は違うが、人間だれしもここを踏ん張れば…というシーンは日常よくある。頑張るという行為は一見素晴らしいが、撤退する時期を誤ってしまうと取り返しのつかないことになるのだなぁと思うことしきり。
 
 
 
 
 

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