猫組長というなんだか可愛らしい元経済ヤクザとエコノミストの対談本。
この猫組長という方の本は2〜3冊目。ゴーンのマネーロンダリングの指摘などなかなか面白かった。
タイトルは「安倍以後の日本」だが、焦点はずばり中国。
武力を持たない日本にとって、中国はそれだけ脅威だということだ。戦争云々だけでなく、経済を含めたあらゆる面において。
元経済ヤクザ×エコノミストが読み解く 「安倍以後」の日本 政治・経済から対中戦略まで大激変の裏と表
武力のない日本にとって外交は命綱。
世界のジャイアンであるアメリカ大統領との関係が良好なのは、日本にとって非常に都合がいい。
どんな綺麗事を並べようが、武力による支配力こそが国家序列で、これはそのままヤクザの世界に当てはまる。現状日本は強いアメリカに守ってもらうしかない。
そうした意味で多くの経済通、国際通の例にもれず、安倍元首相は本書でも評価が高い。
安倍氏の評価が低いのは、日本国内だけなのではないだろうか。
持病悪化とはいえ、実のところコロナ対応の失態を厳しく非難されたことで辞職を余儀なくされたが、安倍政権下においては株価も雇用も好調だった。
コロナ対応にしたところで、中国を完全にシャットアウトすることなどできなかっただろうし、したとしても他の国経由で国内に入ってくるのは時間の問題。それに第一波、第二波ともに、国内の死者数は欧米に比べると極端に少なくて済んでいるのだ。今のところは。
でも格差が広がって日本人は貧しくなったじゃないか!アベノセイダー!という方もいらっしゃるだろうが、格差拡大や貧困化についてはおっしゃる通り。
しかし、それは政権運営のせいではなく、世界的潮流だったグローバル化の結果だ。富はゼロサムゲーム。日本人は一部を除いて貧しくなり、その分中国人が豊かになっただけ。
対談のラスト近くで、猫組長は「製造業が中国に大きく依存している日本は、もし中国がなくなったら立ち行かなくなるのでは?」という問いに対し、「いや、30年前に戻るだけです」と答えている。日本はまだ豊かだった30年前同様に、国内で生産すればいいだけだと。
それもそうかも。
トランプ政権になって製造業の雇用が大幅に改善したのも、アメリカ国内に強引に工場を戻したり誘致したことが理由だろう。まさにジャイアンの本領を発揮して。
今、現在進行形でアメリカ大統領選の結果待ちであり、どうやらトランプ再選は厳しそうだ。
その強烈なキャラクターから、最も嫌われる大統領であったのは事実だが、実は有能。現にアメリカ人の56%が4年前よりも生活がよくなったと感じているというデータさえある。
嫌なやつだけど有能か、いい人(イメージは)だけど無能かなら、私なら前者を選ぶし、今回トランプに投じたアメリカ人もそうなのだろうが、当然逆の人も大勢いる。
まあバイデンはいい人ではなさそうだし、無能でもないかもしれないが。
開票結果が拮抗しているだけに、しばらく揉めそう…
それにしても、コロナ禍の自粛下と今回の米大統領選のメディア報道を見ていると不信感を抱かざるを得ない。NHKをも含めて明らかに偏りすぎ。
日本でも「目に見えぬ侵略」が進んでいるのではないかと勘繰ってしまうほどだった。
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