フィクション

初の一人称でハードボイルドっぽい「暗殺者の悔恨」

2020-12-08

お久しぶりのグレイマン・シリーズ。
もうやり尽くした感もあるし、著者のグリーニーも別の小説を書いたりしてたしどうするのかな?と思っていたところで新作登場。
なんと本作でグレイマンのシリーズも9作目。

なんだかんだ言いつつ全部読んでる私・・・

 
暗殺者の悔恨 上 (ハヤカワ文庫NV)
暗殺者の悔恨 下 (ハヤカワ文庫NV)

電子版はこちら
暗殺者の悔恨 上 グレイマン (ハヤカワ文庫NV)
暗殺者の悔恨 下 グレイマン (ハヤカワ文庫NV)

 

今回のグレイマン(ジェントリー)の敵は、世界的に「性的人身売買」を行っている巨大組織、通称コンソーシアム。
アジアや東欧といった貧しい国で、スカウトもしくは拉致した子供を含む若い女性を性奴隷として西側諸国に売るのだ。市場は巨大で、世界で三番目に儲かる犯罪ビジネスだという。

そのコンソーシアムのディレクター(親玉)は、アメリカの超富裕層が暮らすハリウッドヒルズの宮殿のような豪邸に妻と娘たちと共に住んでいる。
彼は犯罪者ではあるが、表向きの肩書はファンド・マネージャー。自分自身を有能なビジネスマンだと認識している。
コンソーシアムは、各国の犯罪組織との共同事業であり、土地それぞれの警官幹部を賄賂で抱き込んでいる。
それはグレイマンの古巣でさえ例外ではない・・・
こういうケース、現実にも多いのだろうな。

とはいえ、自身の身の安全のため警護は万全の態勢をしいている。
警備の中には、南アの元軍人でグレイマンと対峙するのを楽しみにしているものさえいた・・・

 

我らがグレイマン(ジェントリー)はいつもと同じ平常運転。
お人好しがたたって本来請負った仕事以外に首を突っ込み、最後は怪我でボロボロなパターン。

シリーズの主人公なので、最後は勝つ(?)のだけども、決着の付け方はなかなか粋だった。

シリーズも長期化しそろそろマンネリ化してきたせいか、今回は少し趣向が凝らしてある。

まず、グレイマン(ジェントリー)一人称の語りがそうだ。
そうしたらあら不思議。最初は慣れないので違和感があったけど、なかなかかっこよくハードボイルドっぽい感じ。
ただ、アクションが取り柄のこのシリーズでは、全てをグレイマンの一人称にすると苦しくなるので、他は従来通りの三人称。
正確に言えば、グレイマンは自分を現在形で語り、他の部分は三人称過去形で語られているので、違和感なく臨場感を盛り上げている。

第二に、今回の彼は最初から仲間に助けを求めるのだ。割とこれまで一匹狼的にやってきた感があるので珍しい。
グレイマンに手を貸してくれた彼らの心意気には頭が下がる。

共に組織を叩く相棒として戦闘員ではない女性が据えられているのも目新しいところ。

 

凄腕暗殺者と言われつつ、情に脆く、ときに情けないところもあるグレイマン。
キャラクターの妙と、マーク・グリーニーのお得意のアクションシーンと世界情勢を斬る視点でここまで人気を誇ってきたわけだが、ついに映像化されるそうだ。

制作はNetflix。監督は「アベンジャーズ・エンドゲーム」のルッソ兄弟で、主演はライアン・ゴズリングという豪華さ。グレイマンを追うロイド・ハンセンはクリス・エヴァンズが演じるという。
言われてみればライアン・ゴズリングはグレイマンにぴったり。Netflix市場最高額の予算らしいが、すごく楽しみ!

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です