もう年はとれない / ダニエル・フリードマン

東京創元社さんからいただいた本。その節はありがとうございました!
次作からは絶対自分で買わせていただきます。

さて、「もう年はとれない」 って、私もそうなのだ。
もうこれ以上困ったことになるのはカンベンだが、本書の主人公はもっと切実だ。なんと86歳なのだから。

しかも本書でまたひとつ年をとるのである。

そしてさらに驚くことに、
フリードマンはこのシリーズであと4作品くらい書くつもりらしい。

主人公はバック(バルーク)・シャッツ。ユダヤ人でナチの捕虜収容所の生き残りの元警官。御年86歳。
そんなバックは軍隊時代からの知り合いの見舞に赴く。
ジム・ウォルシュはICUで死にかけていた。その彼が死ぬ前に是非バックに言いたいことがあるというのだ。そしてジムは「ジーグラーを見た。」とを言い残してこの世を去ってしまう。

ハインリヒ・ジーグラーはナチのSSだった。
バックがいた捕虜収容所の責任者で数多の同胞を虐待して殺し、バックに瀕死の重傷を負わせた。バックの背中には今も盛り上がった傷跡がある。

ジムはジーグラーを目撃しただけでなく、ドイツの検問所を通してやったと告白した。ジムは賄賂に負けたのだ。そのときジーグラーのベンツは後部が重そうにたわんでいたという。

しかし、今更ジーグラーが生きているかもしれないと知ったところでどうなるというのか。バックは確かに30年間警官だったが、退職したのは35年も昔のこと。
軽度の認識障害もあり耳も遠い。耳の穴からはゴワゴワの毛も生えている。おまけに昨今のIT技術にもとんと疎い。
だが、孫のテキーラ(ビリー)はこの話に食いつく。おまけに死んだジムの娘婿やジムの葬式をした牧師までもが金塊の話を知っていて、一枚かませろとバックをせっつくのだった。

テキーラの調べで、ジーグラーがまだ生きていてセントルイスの老人ホームにいることが判明するが・・・

バック・シャッツ最高。

三行に一回ペースの悪態、◯◯すべきでなかったという後悔・・・
『ストリート・キッズ 』ニール・ケアリーを超ジジイ化して、タフガイにしたらこんな感じだろうか。

そんなバックがとにかくカッコいい。
面白いから気難しく暮らしていて、これまで会った最高の女と結婚したといって憚らない。女性ファンも多く獲得したことだろう。

あとがきでは訳者の野口百合子さんも開口一番に「こんなかっこいいジジイになりたい!」とおっしゃっている。

私もバック・シャッツの年まで生きられるのであれば、是非彼のようでありたい。悪態をつくイヤミなところだけは今でも充分真似可能だが。

ユダヤ人とナチという「あ〜またソレね」的なテーマなのだが、全く異なる魅せ方で魅せてくれているのも好感が持てる。

とにかく老人力というか意表をつく爆発力がいい。

 

 

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