読む海外ドラマ「犯罪心理分捜査官セバスチャン」シリーズ

手を出すのを躊躇していたが、今出ている「白骨」まで三作全部連続で読んでしまった。

結構高くついてしまった・・・(笑)

まるで海外ドラマなので、途中でやめられないとまらない。
北欧ものに共通する暗くて陰惨なイメージはあまりなく、会話のテンポや物語の軽妙な展開でサクサクと読ませる。

 

 

 

 

似ているのは、「メンタリスト」だろうか。
ジェーンの性格をさらにひん曲げたのが主人公の犯罪心理分析官のセバスチャンだ。しかし見かけはサイモン・ベーカーとは程遠い。

体型はつねに肥満と肥満予備軍の中間で犬に例えればドーベルマンよりブルドック、髪の生え際は後退しファッションはいかにも心理学部の教授といった感じだ。

 

こんな彼だが、女にはモテる。
その秘訣は長い年月をかけて磨き上げられたセバスチャンならではのテクニックにある。女性の年齢や容姿にこだわらないというのも大きいが・・・

金持ちや容姿のよい男に惹かれる女は大勢いるが、全部の女がそうというわけではない。セバスチャンの魅力は、目の前の女性に集中し、女性に自分に魅力を感じていると思わせることにある。戦術が功を奏さないと思えば、また別の手を試してみる。
口説きのプロセスを誘導し、障害をかわし状況にあわせて調節することがセバスチャンにとっての楽しみなのだ。そして、彼は一時期のタイガー・ウッズのようにSEX中毒。彼の興味は一夜を共にすることで尽きそのあとはもう用はない。

・・・そのためトラブルにも見舞われる。

これにはセバスチャンがバカンスに訪れていたタイで、津波で妻子を亡くした喪失感が大きい。
妻のリリーは横柄で驕慢な彼が愛した唯一の女性だった。あの時、娘の手を離してしまったことは、今も夢にうなされるほどのトラウマになっているのだ。

こんな彼が殺人捜査特別班のチームにいれば、波風が立たないわけがない。
「メンタリスト」のジェーンはチーム内でそれほど煙たがられてはいないが、セバスチャンは女性陣二人に毛嫌いされている。

鑑識官のウルスラとは過去に訳ありで、若いヴァニヤとはもっと訳ありだ。
このウルスラ、既婚でありながら班のリーダーのトルケルとも関係があり、なかなか複雑な人間関係となっている。
これでいいのかスウェーデン!という感じだが、今日日の日本も議員さんたちからしてご熱心なようだし、思っている以上に多いのかもしれない。

セバスチャンは90年に殺人捜査特別班を辞していたが、不純な動機から再び捜査に加えてもらうことに成功する。昔、自分の子供を身ごもった女の行方を警察のデータベースにアクセスしたかったからだが、次第に事件にの減り込んでいく。

そして続く「模倣犯」ではかつての仇敵と相見えることになる。
「レッド・ジョン」のような主人公の敵はこの手のドラマには必要不可欠な存在だ。
エドヴァルド・ヒンデはかつてセバスチャンが捕まえ逮捕した連続殺人犯で今は服役中だったが、彼の手口に酷似した連続殺人事件が発生する。
被害者の女性は皆、かつてセバスチャンと関係したことのある女だった・・・

セバスチャンの役所はジェーンと同じコンサルタント的役割だが、そこは北欧もの。ジェーンがいなければ事件解決はないというほどの活躍ではなくもっと現実に即したものだ。クリミナル・マインドのBAUのような神がかったプロファイリングもない。

 

物語は、セバスチャンや捜査班の面々の個人的事情と、事件の二本柱を中心に展開していく。セバスチャンの事情はより複雑になり、「白骨」の次の巻では嵐が吹き荒れること必須な状況だ。
ただ、仇敵はあっさり片付いてしまうため、この先長く引っ張れる別の「敵」の存在が必要になってくるのではないかという気もする。
「メンタリスト」でも「レッド・ジョン」亡き後はその魅力も薄れてしまった。といいつつ全部観たけれども。

本書の最大の魅力は、著者の言う通りキャラクター造形だが、毎回適当な事件を扱い続ければ、平凡な一話完結のドラマの罠に陥ってしまう。かといって「特捜部Q」のシリーズのような社会派という感じでもない。
この手の捜査解決ものには事件の質も重要だと思うがこの先どうなるのか。

 

 

 



 

 

 

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