フィクション

お久しぶりのラーシュ・ケプレル「砂男」

2020-01-20

「催眠」で颯爽とデビューしたスウェーデンの覆面作家ラーシュ・ケプレル。
新人作家にしては完成されすぎていると話題になったが、後にスウェーデンの人気作家夫婦のペンネームだということが明らかに。才色兼備!美男美女のカップル。

当時はまさに北欧ミステリ全盛期。
「催眠」の不気味な作風も時代感にあっていてすごくよかった。
映画にもなったのでご存知の方も多いかも。

 

砂男(上)
砂男(下)

その後は「契約」まで読んだけど、久しぶりにこの名前を見て即買い。
しかも「スウェーデンで年間最も売れたクライム・ノヴェル」というではないか。
期待は裏切られなかった。

10歳の時に拐われ行方不明になった有名作家レイダル・フロストの息子、ミカエルが13年ぶりに戻ってくるところから物語は始まる。
痩せ細り衰弱したミカエルは、妹のフェリシアがまだ「砂男」に囚われていると訴える。

当時捜査にあたったのは、国家警察のヨーナ・リンナ警部だ。
彼と彼の相棒は、複数の人物が突如失踪した事件をシリアル・キラーによるものと考えた。そして、ユレック・ヴァルテルという名の男を逮捕した。だが、ユレック・ヴァルテルはその男の本名ですらなく、謎だらけ。
彼はスウェーデンで最も厳重な閉鎖病棟に無期限の措置入院という判決を受けるが、その時ヨーナに不気味な予言をする。
そして、ほぼユレックのいった通りになったのだ・・・

当時ヨーナはユレックに共犯者がいると踏んでいたが、それがミカエルのいう「砂男」に違いない。
なぜ、犯人は二人の子供をずっと監禁し生かし続けていたのか。
レジオネラ症を発症していたミカエルの体調を鑑みるに、同じ環境下の妹のフェリシアにはもう時間が残されていない。だが、ミカエルは監禁場所の手掛かりになる情報を何も持っていない。
ヨーナとそのチームは禁断の手段に打って出ようとするが・・・

派手でスピード感あり。でも社会派。

ユレックが人を支配しいいなりにさせる力を持っていることから、最初レクター博士的なサイコ系かなと思いきや、実は社会派。
世界中から羨ましがられる高福祉国家スウェーデンにも色々あるのわよね・・・

 

「暗い過去」がキーワード。

「催眠」ではバルク医師の過去が、今回もヨーナ・リンナ警部と公安警察のサーガ、果ては犯人の過去に焦点が当てられる。

時系列的にはユレックを逮捕してから、相棒と自分自身にあの”予言”の影響が及び失意にある時期が「催眠」
「催眠」の”いつも正しい男”ヨーナ・リンナには何か過去がある雰囲気が漂うが、その過去こそが本書で明かされている。

小技が効いており今後も引っ張りそう。

かつてのヨーナ警部の相棒が実は◯◯◯だったとか、相棒が亡くなったショックでヨーナ警部が駆け込んだのが時計職人の店で、二週間そこにとどまっていたとか、ちょっとこれ布石なのかな的なところあり?

その相棒のサムエルが人差し指を立てて唱えろと言っていた「あべこべかもしれない」という呪文もちょっと気になった。全然関係ないかもしれないけど(笑)

実はこのヨーナ警部シリーズは8部構成で考えられているのだそうで、スウェーデンではすでに7作が上梓されているのだそう。
このシリーズは「交霊」を最後に早川には見限られ、扶桑社から復活したが、今後もぜひ届けて欲しいな。

 

催眠」入手困難なのか高騰してる!!!
当時はこのミスにも入りさえしなかったし、話題にもならなかったのに。

 

 

 

 

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