デニス・ルヘインのパトリック&アンジーシリーズの傑作「愛しき者はすべて去りゆく」読書会!

超超お久しぶりに読書会に参加してきた。
課題本はデニス・ルヘイン(レヘイン)の名作「愛しき者はすべて去りゆく」

何を隠そう私の一番好きな小説家はデニス・ルヘイン(レヘイン)とウィンズロウなのだ。出たら必ず買う。キングは高いのでちょっとだけ迷うが、ルヘイン、ウィンズロウなら条件反射で買ってしまう(笑)

ちなみに、ルヘインでもレヘインでも間違いではないそうだ。なぜ日本語記載が変わったかというと、角川からでていたときはレヘイン表示だったのが、版権が早川書房に移ったときにルヘインに変更されたからだなのそう。

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日本未公開ながらベン・アフレック監督ケイシー・アフレック主演で映画化もされている(Netflixでも観られます)
映画のほうは登場人物もざっくりと削られており、シンプルな構成。

ちなみに、このシリーズにはKindle版がないのだ。
以前に鎌田さんから電子版の契約がどうとか聞いていたので、電子版に落として読もうと思っていたのに、探してもでてこないではないか。一週間前になって、あせって本棚をひっくり返して探してしまった。
ただ、怪我の功名というか、シリーズをまとめて発見できたので全部一気読みできたのはよかった。ちなみに、シリーズ中最も好きなのは「雨に祈りを」。いうまでもなく、ブッバのファンだからです。

ところで、ルヘインが「スコッチに涙を託して」を書いたのは大学生の時だが、もう最初から完成された小説家なのだなぁと改めて思う。今、こんなのを書ける大学生っているのかな?
第4作目である本書、「愛しき者はすべて去りゆく」を上梓したときもまだ20代。彼の圧倒的才能には驚くしかないが、実は私はこの時代のルヘインより、内省的で感傷的な今の彼の作品のほうが好きだ。年齢とともに刻まれたシワ同様、味わい深さも増している気がする。
それに、トシとともにパトリック&アンジーシリーズの「容赦のなさ」も精神的にキツくなってしまったというのもある。身体もいろいろと無理がきかなくなるが精神も同様なのだ。脆くなり、その回復に時間がかかるようになる。
逆にいえば、このシリーズの「激しさ」と主人公たちに対して懐疑を抱かせるほどの「容赦のなさ」は、そのままルヘイン自身の「若さ」かもしれないとも思う。

 

今回は、翻訳者の鎌田さんも参加された(というか、彼も横浜読書会のメンバーなのでいつも参加しているのだけど)

↑ 読書会に入る前に、「今日の読書会では、翻訳者に対する忖度も遠慮も一切いりませんからね!」とお話される鎌田さん。

 

それでも、まあ、高得点連発だろうと思っていたら案の定。平均得点は8.56点という高さだった。 10点満点中9点が最も多い得点帯で、なかにはタイトルの妙とあわせて12点という人までいたほどだ。

↑ 鎌田さん曰く、「あまりお友達になりたいとは思わない顔」のルヘイン。私は嫌いじゃないです。

 

 

さて、肝心の読書会の様子だが、結構細かくメモってはいたのだが、いたずらに褒め殺しを並べてみても面白くない。というわけで、以下、通り一辺倒ではない感想を取り上げてみよう。

*いい小説だが、キツすぎて人にはオススメできない
→おっしゃるとおり。
翻訳者自身このシリーズの翻訳は、精神的にキツかったそうだ。ランズデールと交互にやっていたおかげでなんとか乗り切れたのだとか。

*ヘリーンにはヘリーンの事情があり、彼女だけを非難するのは厳しすぎるように思った
→もう、これはなんとも・・・
他方でアマンダの立場になってみると、「じゃあ、なぜ生んだの?」という話でもあるし。子供はその環境を選んで生まれてくることができない上に、社会と親に対しても何らの権利も有していないのだとつくづく思う。

 

*ラストでアンジーとパトリックの意見が分かれ、挙句別れるはめになったのは仕方ない
→それでも結び付きが強い二人だったりもする?

 

*「正義」VS「どうしようもない悪」の対比が素晴らしい
→個人的にはルヘイン作品を通してのテーマは善悪の曖昧さだと思う。善悪の境界線はぼやけている。他に作家の倫理観がわからないという意見もあったが、ルヘインはまさにそれを読者に突きつけているのだと思う。

 

*導入部分とラストに、レイチェルの話をわざわざ入れる必要があるのか?
→実子をネグレクトするヘリーンとの対比では?

 

*アンジーは美人でなんでもできて完璧すぎて共感できない
→料理や片づけに関しては、めちゃくちゃ苦手らしいけども…
いわゆる片づけられない女?

 

*作者の描く女性像はステレオタイプすぎる。女性のことをわかっていないのではないか?
→その傾向は無きにしも非ず。ただ、このときルヘインはまだ20代なので仕方ないかな?
また、パトリックについては、ヘリーンに厳しすぎだという声もあったが、私は逆にパトリックは女性には少々甘いところもあると思う。ルヘインを含め、大概の男性がそうなのかもしれないが。パトリックはヘリーンに対しても、彼女がちょっと殊勝になった瞬間ほだされてしまっているし・・・

 

で、、、今回一番面白かった感想は、

*とにかく長すぎ。もう犯人は小児性愛者でいいじゃん!
→でも、小児性愛者が犯人で終わってしまうと、ルヘインではなくなってしまうのだ。メランコリックでテーマも重く、それをまたご丁寧に重層仕上げをしているので、合わない人には合わないだろうが、それこそがルヘイン。

この時代は二重にフェイクが入った挙句、真の黒幕が暴かれるパターンのものが多かった。毎回テーマがあまりに重く激しく派手なので、そちらに目がいきがちだが、実は本書もどんでん系。
ルヘイン自身は巧みに描いているのだが、ページ数と登場人物リストで見当がついてしまうのが難点だ。
登場人物リストがミニマムすぎて、読んでいくと「もう、この人しか残ってないよね」になってしまうのだが、それを指摘した方も多かった。

というわけで、点数が非常に高い割には「ここの部分はちょっとね・・・」という意見がたくさんあったのも印象的だった。かくいう私もそのクチなんだけども。

 

 

 

 



 

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