”北欧ミステリ新女王”の「海岸の女たち」。日本刊行するなら2011年以前だったのでは?

週末の読書会の課題本。
なんでも、著者は「北欧ミステリの新女王」らしいが、そもそも「北欧の旧女王」って誰のこと?(笑)

主人公は、ニューヨークで舞台美術家として働く女性、アニー(アリーナ)
彼女は、妊娠が判明し、ジャーナリストでパリで取材中のはずの夫、パトリックに連絡をとろうとするが全く繋がらない。
夫からの連絡が途絶えて10日以上。心配するアリーの元に、彼からパリの消印のある封書が届く。自宅ではなく仕事場に届けられたその封書の中には、取材対象と思しき人物の写真の入ったディスクと、彼の手帳が入っていた。
夫の身を案じたアリーは、一人パリへ飛ぶが・・・

残念ながら私はちょっと趣味に合わず。

一番の違和感は、なぜ今頃になって日本刊行したのかということだった。これは作品自体の問題ではないけれども。
本書はスウェーデンでは2009年に刊行されたらしい。テーマとしてアフリカからの不法移民問題を取り上げているのだが、今となってはどうにも気の抜けたコーラ状態。
その問題を軽んじるつもりはないが、ご存知ように2011年にはシリア内戦が起こり、ヨーロッパには膨大な数の難民が押し寄せて大混乱を招いた。個人的にはそちらのインパクトが強すぎる。

それに取り上げ方も中途半端な印象。同時に、あれもこれもと登場人物の出自や人種的なことも盛り込んだため、焦点がぼけてしまった感もある。

もう一つの違和感は、主人公のアリーの行動には、特に女性として賛成しかねることが多すぎた。そのため、物語が進めば進むほどに彼女に対しての疑問だけが募っていってしまった。
もしアリーとパトリックの役割が逆なら、もう少し素直に読めたのかもしれないが、それにしても・・・どうなのだろうか?

と、悪いことばかり連ねてしまったが、この手のものは趣味が全て。
体調の悪い時にはお酒も美味しくないように、忙しなく余裕のない中読んだのでそれは差し引く必要があるかも。
なんといってもオリピック期間中だし。

良い面をみれば、一見重そうでいてそうでもないので、片手間にザクザク読めて別段支障はないし、物語の舞台はニューヨーク、パリ、リスボン、スペインのタリファと移り変わる。そういう意味では、旅行好きにとってはそれなりに魅力もあるのではないか。

  

スウェーデンのタブロイド紙では、ラーシュ・ケプレルより面白いと評されたようだが、私は「催眠」ほうが面白かったかな。
ただ、北欧ミステリというカテゴリならば今は「特捜部Q」シリーズをオススメするけども。

 



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