フィクション

晩夏の墜落 / ノア・ホーリー

2017-08-01

ついに8月になってしまった・・・

今日からお手紙の書き出しは「晩夏の候」になってしまった・・・

最近の8月は晩夏でもなんでもなく、暑さ本番!で、9月も引き続き暑くて、10月近くなってようやく朝晩過ごしやすくなってくるのかなぁという感じだ。そして秋がなくて突如冬っぽくなるという(苦笑)
ゲリラ豪雨も日常化しているし、これからはかつての夏らしい夏もなくなっていくのかも。

 

  

ところで「晩夏の墜落 」。著者は、海外ドラマ「Bones 骨は語る」でもお馴染みの人気脚本家で、本作は今年のエドガー賞受賞作。
エドガー賞受賞作は読むことにしているので読んでみた。

 

ら、、、

 

想像してたよりも、何倍も何十倍も良かった!
昨年の「地中の記憶」はイマイチ趣味に合わなかったが、これはドンピシャ。

 

物語は一見シンプルで、筆致も軽やかなのだが、その構成は練られていて読み応えもある。

 

確か、「ブラックランズ」のベリンダ・バウアーもTVドラマ系の方だったと記憶しているが、やっぱり上手いなぁと思う。
marthas-vineyard.jpg
ある夏の日、マーサズ・ヴィンヤード島を出発したプライベート・ジェット機が大西洋上で墜落する。離陸してたった18分のことだった。
このプライベート・ジェットの乗客は、<ALCニュース>の代表デイヴィッド・ベイトマンとその妻のマギー、9歳の娘のレイチェルと4歳の息子JJのベイトマン一家と一家の護衛のル・バルグ、夫妻の友人で投資銀行家のベンとサラのキプリング夫妻、そしてマギーの友人の画家、スコット・バローズだった。乗員は、経験豊かな機長に、副操縦士、キャビンアテンダントの3名。
この惨事で生還できたのは、画家のスコットと4歳のJJだけだった。
泳ぎに覚えのあったスコットが命がけでJJを引っ張って夜の海を泳ぎ切り、奇跡的な生還を遂げたのだ。スコットは幼い子供を救ったヒーローとして一躍時の人となるが、マギーとの関係を勘ぐられ容赦ない好奇と疑惑の目が寄せられるようになる。
果たして、墜落の真相は・・・
noah-hawley.jpg
面白いのは、スコットが追い詰められていく過程だ。
テレビの人間だけあって、ポピュリズムとマスコミの手法というのがよくわかっている。
個人的には今話題の加計問題を彷彿とさせる。

 

阿倍さんと加計学園の理事長は親友だ。そして、四国の加計学園は獣医学部を創設するのを許された。
それは何かあったのに違いないと憶測されるというわけだ。だが、これといった証拠は出てこない。
だからといって少なくない金のかかる国会で延々やり続けるのもねぇ?
しかし栄枯盛衰は理とはいえ、阿倍政権がこんなに早くグラつくとは。

 

二つの事柄が立て続けに起きると、人はそこに何らかの因果関係を認めたがる。
ちょうどこの本の前にマイケル・ルイスの「かくて行動経済学は生まれり」という本を読んでいたのだが、これは人間の脳のくせのようなものらしい。

 

本書の主人公スコットは売れない画家。その売れない画家が億万長者の妻にプライベートジェットの同乗に誘われた。そこに当然何かがあると憶測する輩もいる。そして、その興味というか疑惑は強引な理屈で航空事故の原因にまで及んでいく。
スコットを巡る一連の騒動は、ジェット墜落の真相はどうなのか?と相まって実に面白い。
物語に限らず、現実社会においてもニュースがニュースショーになってからというもの、「事実よりもそれがどう見えるのかが大事」になった。そして、<ALC>ニュースのように、マスコミはニュースを創造することさえできる。
それはとても恐ろしいことだ。

 

スコットその人と彼を巡る騒ぎだけでなく、墜落機に乗っていた人一人一人の物語も読み応えがある。その一人一人に焦点を当て、それぞれの人物像と彼らが抱えていたものを描いていて、これがまたいい。
 

 
 
 
 
 
 
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA