失踪者 / シャルロッテ・リンク

気がつけば3月・・・早いす。 

さて、しばらくぶりのミステリー。なんでもドイツNo.1作家による最高傑作”だそうなので読んでみた。本書の著者シャルロッテ・リンクは、ドイツ国内では、日本でいう宮部みゆきや東野圭吾に匹敵する人気作家らしい。
 
 

ドイツ作家だからドイツが舞台かと思いきや、舞台は英国。シャルロッテ・リンクは大の英国好きで、英国を舞台にしたものが多いのだとか。

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タイトルの通り物語は「失踪者」をめぐるミステリで一転二転するどんでん系だ。

イギリス南西部の田舎に住むエレイン・ドーソンは、5年前、幼馴染ロザンナの結婚式のためジブラルタルに向かうが、霧のためヒースローに足止めされてしまう。
その日はもう飛行機は飛ばない。ホテル代にも事欠くエレインは空港で偶然であった親切な弁護士マーク・リーヴの家に世話になる。しかし、それを最後にエレインの消息はぱったりと途絶えてしまうのだ。
5年の月日が流れ、ジブラルタルで専業主婦になっていたロザンナの元に、英国で起きた失踪事件をテーマに記事を書かないかとのオファーがくる。その中には、エレイン失踪事件も含まれていたため、当事者であるロザンナに白羽の矢が立ったのだった。エレイン失踪に責任を感じていたロザンナは、夫の反対を振り切りロンドンに飛ぶ。
「生まれつきの壁の花」タイプのエレインは両親を亡くし、まだ若いのに障害者の兄の世話に縛られていた。
エレインは果たして自分の意思で失踪したのだろうか?それとも・・・
 

Heathrow Airport 

丁寧な心理描写がいかにも女性作家らしい。
人の持つ複雑さや多面的な側面から照らすその描写力に感心することしきりだ。
他人からの見かけ通りの人もいる一方で、全くそうは見えない人もいる。他人のことなど、誰にもわからないのかもしれない。
とにかくプロット優先という人もいるが、私は小説の醍醐味は自分以外の他人になってみることにもあると思うので、登場人物を記号扱いせず、ステレオタイプにしてしまわないことに好感をもった。
 
 
本書の良さは先の展開が読めないことにもある。
同時進行で起こる若い女性の連続惨殺殺人事件や、片田舎で逃亡生活を送っている謎の女性などが絡むことで、物語は複雑な様相を呈する。
これにどういう決着をつけるのだろうかと思っていたが、ラストは少し拍子抜け。
・・・と思いきや、考えてみれば、結局のところはこれ以外にはありえないのではないか。
ただ、本格好きな人には物足りないかもしれない。
 
 

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