文春トークライブ、橘玲氏「幸福の正体」講演に行ってきた!

文春トークライブなるものに行ってきた。 講演されるのは作家の橘玲氏。
橘氏は、「マネーロンダリング 」「タックスへイヴン」などの小説でも有名だが、「言ってはいけない 残酷すぎる真実」という新書が新書大賞を受賞したことでも知られる。
 
 「文藝春秋SPECIAL 2017年夏号 脳と心の正体」で幸福についての特集をし、また、「幸福の資本論」という本を出したということで、これをテーマに講演されることが決まったという。
 

 

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この橘氏、極めてプライバシーに敏感とのことでもちろん写真撮影はNG
これほどの人気作家ながら、講演自体も「キャラに合わない」とのことで、人生で5度目。この日は2年ぶりとのことだった。
 
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会場は、文藝春秋西館の地下ホール。
だいたい100人くらい?入るのだろうか。入場料は5,000円!だというのに直前になるとほぼ満席。
やっぱり人気作家。実は私は5,000円に少し躊躇したのだが、若い方も多かった。
 
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初めてみた橘氏は、少々露悪的ともいえるその文章からは想像できないほどソフトな印象で、ロマンスグレーのおしゃれでイケてるオジサマという感じ。銀座とかでもモテそう(笑)
人前で話すのは「自分のキャラに合わない」とおっしゃる通り、プレゼンバリバリというタイプとは真逆のタイプとお見受けした。
 
講演自体は、上述の「文藝春秋SPECIAL 2017年夏号 脳と心の正体」「幸福の資本論」とは異なる内容で、「生き物としての人間」の見地からの幸福を取りあげたものだった。
 
会場の写真のほうの壇上にあるのは、経済学でいうところの「限界効用逓減のグラフ」
縦軸は充足度で、横軸はお金だ。これによると、お金がある程度のところまでいくと、充足度はほぼ横ばいになる。だいたいアメリカでは7万ドル、日本では800万くらいの年収(1人あたり)から上は、幸福度はそれほど変わらないらしい。
 
なぜお金なのかといえば、それは「餓え」に直結しているからだ。お金がなければ、食料は得られない。近年の飽食からは想像できないが、人類はその誕生以来のほとんどの時代「餓え」とたたかってきたため、私たちのDNAには「餓え」に対する無意識のアラートが設定されているという。
「餓え」は人間にとって根源的恐怖であり、その「餓え」を回避する手段がお金なのだ。
 
ただ、その「餓え」だけ回避すればいいというわけではなくて、人間にとっての幸福の条件は、
1)お金、2) 健康問題、3) 人間関係、の3つに分けられる。
1)と2)は、生命に関わる重大問題だが、3)がなぜ重要かというと、そもそもが人間は徹底的に社会化された動物であるからだ。
その昔、人類は群れで行動し狩りを行っていたが、その群れから排除されることは、即「生命の危機」を意味していた。だから、それが満たされないと、他二つの同様に、ガンガンに「生命危機」のアラートが鳴り響く。
 
ま、当たり前といえば当たり前の話で、例えば今、大騒ぎしている女優?のM居一代さんなどはその最たる例だ。ご本人曰く、株とビジネスで儲けて100億!の資産をお持ちだということだし、身体も健康そうにみえるが、全く幸福そうには見えない。というか、不幸のどん底なあまり我を失っている感がある…
 
また、昨今社会問題化している「いじめ」問題も人間関係の欠乏に根ざしたものだ。「餓え」同様、他者との関係性の重要性も人間のDNAに組み込まれている。そのため、「小学校、中学校時代の友人関係なんて、長い人生でみればなんてことないよ。」と、どれほど正論を言って聞かせても、子供たちにとっては何の解決にもならないという。本能のアラートが消えるわけではないからだ。
 
「餓え」の危機にある貧しさがなくなった昨今では、いじめ問題に限らず、人間関係の難しさが最も重視すべき事項となっている。
その煩わしさゆえ、家族という親密な人間関係を中心に据えて、他の人間関係はその時々の状況で選択可能なものにするという、ニューリッチ的というかノマド的ライフスタイルを送る人も増えているのだとか。
若者の間で流行ってるフリー参加型のフットサルなどもそうだし、私がたまに参加する「読書会」などもその最たる例だ。その場に限っての関係で、それ以外では全く繋がりをもたない。
それは極端な例としても、よくランチだなんだと一緒に出かける友人の中にも、話題はファッションや旅行といった特定のことだけで、踏み込んだ付き合いはしない人もいる。それも選択的人間関係というやつだろう。
 
他にも話は、人類の「接近と回避」の戦略にも及んだが、面白かったのは、「意識は無意識にアクセスできない」ということだった。
これは言い換えると、意思の力で本能をコントロールすることはできないということである。たいていのダイエットが上手くいかないのは、そもそも飢餓に対して組み込まれている本能に、意識の力で逆らおうとするからだ。
なるほどね〜〜〜
 
また、差別というものがなくならないのもそれで説明可能だ。
人類は、生き残るために、不潔なもの、不浄なもの、未知なものを回避する戦略をとってきた。腐ったものや毒キノコを口にしようものなら、即、生命の危険に直面するからだ。我々が「生理的嫌悪感」を感じるものを回避するのはDNAの戦略でそれこそが「差別」の根源となっているため、これを根絶するのは難しい。
 
橘氏は、「意識で無意識を制御する」ことがどれほど難しいことかを説明するのに、バンダイナムコのVRアクティビティ「高所恐怖SHOW」を体験した時のことを挙げていた。
これは、あらかじめここはただの床だということを体験者にわからせた上で、ヴァーチャルリアリティで再現した高所を歩かせ、猫をとって帰ってくるというものなのだが、「絶対安全だと頭でわかってはいても、その恐怖は抑えられるものではない」そうだ。
 
 
「いや、その本能を意識の力で変えられるのが、人間が動物と違うところなのだ!」というあなた。
このアトラクションは7月14日から期間限定で体験できるみたいなのでチャレンジしてみては???
 
 
 
 
今なお北九州を襲っている豪雨災害がはやく終息しますように…
被害に遭われた方々に謹んでお見舞い申し上げます。
 
 

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