松岡圭佑の「小説家になって億を稼ごう」と「催眠」

「小説家になって億を稼ごう」って、別に小説家になりたいわけじゃない。そんな才能も根気もないし(笑)

小説家になって億を稼ごう(新潮新書)

これは人気作家、松岡圭佑氏による新書だ。

小説ばっかり読んでいると、新書が読みたくなる。
一般科学本やノンフィクションだと高価だし、気合いも必要だけど、新書は手軽。
お肉ばっかり食べてると野菜も食べたくなる的な感じw

で、何か面白そうなのはないかな?と検索していると出てきたのが、この本だったというわけ。

億万長者といえばYouTuberのこの時代に、小説家になって億万長者を目指そうというのもなかなか。

松岡氏自身も本書の中で言及しているが、今の時代にあっては相当ニッチな市場だ。
ただでさえ、読書人口は減っている。というか、彼に言わせれば、読書というのは生来の能力を必要とする極めて限定的な趣味で、「40人中39人は小説家の顧客対象ではない」という。

でも、ニッチな市場だから儲からないというわけでもない。飽和状態に近いYouTubeなども事情は同じ。
斜陽と言われる音楽業界でも、突如現れて稼いでいる人も少なからずいる。

内容的には、これから売れる小説家になりたい人に向けたハウツー本。小説の書き方から賞の狙い方、デビュー後の印税契約における注意点、編集者との付き合い方等々、松岡メソッドが惜しげもなく披露されている。
小説家になる気がない専業読者にとっては、ああこうやって小説は作られているんだな的面白さがあった。

読んでみて思ったのは、やっぱり成功には「能力」と「運」の双方が必要なのだろうなということ。当たり前だけど、どちらか片方が欠けていてもだめ。
小説家に限らず、どの分野でもそれは大切なことで、努力だけではどうにもならない。
天才や成功者と言われる人が努力しないと言いたいわけではなくて、むしろ逆。
その二つの最強の武器を持った上で努力するからこそ、頂点にいつづけることができるのだ。

ところで、松岡圭佑氏の本は本屋で平積みになっているのはみたことがあるけど、読んだことはなかった。
Wikiをみるとデビュー作「催眠」でいきなりミリオンセラー作家になり、その後もずっと売れっ子らしい。

というので、「催眠」を読んでみた。結構昔の小説だし、文庫化Kindle化もされている。
翻訳ミステリに偏って読んでいると、「催眠」といえば、ラーシュ・ケプレルの「催眠」しか連想しないが、同じ「催眠」を扱いつつも全然種類が違う面白さだった。
タイトルの通り、心理ミステリ系で、臨床心理士を主人公にしたものだが、聞けば、松岡圭佑氏自身も作家になる前は催眠術師だったという。
心理学は科学ではないと言い切る人もいるし、催眠というと何かと胡散臭いイメージを抱きがちだが、だからこそ興味をひく分野でもある。
特に女性はこういうのが好きよね。
よく美容業界では「おばさんと男性客をつかめ」というけれど、小説業界では女性層をつかむのも大事かも。
なぜかって、小説を読むのはほとんどが女性だから。

「小説を〜」でも映像化を意識せよと言っていた通り、すんなりと、テレビドラマ化されそうな感じも売れた要因なんだろうなぁ。

 

 

 

  

 

 

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