数がモノを言う?「人口で語る世界史」

先日の国連気候サミットでのスウェーデンの16歳の活動家グレタ・トゥンベリさんの演説は衝撃的だった。怒り泣きながらの「How dare you!」

確かに日本の夏は年々暑くなっている気がするし、台風もじゃんじゃんバンバンやってくるようになった。局所的な豪雨も多く、もう災害だらけ。これは日本に限らず世界的な現象であり、その原因は地球温暖化によるものと言われている。
急激な温暖化は人為的な温室効果ガスが影響しているとも言われている。

日本の環境大臣は、この問題にセクシーに取り組むらしいが、各国の排出量を見る限り、日本が何をやろうが中国とアメリカが努力しない限りどうしようもない。
というか、人間がその元凶ならば、世界人口が増え続けてることを考えれば現状維持も難しいような…


人口で語る世界史

 

と、前置きが長くなったけど、本書は1800年以降の世界の人口の変動から、現在までの世界史を語るものだ。
なぜ1800年以降なのかというと、農業革命や産業革命が「マルサスの罠」を打ち破った転機だからだ。
ご存知の通り、「マルサスの罠」とは、人口が過剰に増えると食料不足が起こり、過剰な人口増加が抑制されるというものだ。
食料問題はクリアしたが、しかし、温室ガス効果による気候問題についてもクリアできるのかな?
10億人未満だった18世紀の世界人口は、これを境に世界の人口は爆発的に増え続けて今や70億人を突破し、2050年には100億人に迫ると言われている。

人口変動という観点から歴史を振り返ると「人口は軍事力であり、経済力である」ことがよくわかる。
国民一人一人が裕福なルクセンブルグが、それより国民一人あたりGDPの小さい中国より政治的にも経済的に重要視されないのは人口が少ないからだ。
それぞれの国家としては人口は多いほうがいいが、地球のためには、世界人口はもっともっと少ないほうがいい。
もう解決策は「人類、宇宙に住む」しかないかもね…


大英帝国(ブリテン)が栄え人口が増えると、人々は仕事や新しい土地を求めてアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドへと移住し、そこでまた人口転換が起きた。
近代は主にブリテンに起源を持つ白人が主役の世界だった。

ただし、今後白人は少数派となる傾向にあるという。上記の先進国は軒並み出生率が減少、出生率の高い国からの移民によって非白人の割合が増え続けているからだ。
こうした急激な民族構成の変化がなければ、オバマ大統領は生まれなかっただろうし、一方、トランプ大統領の登場は、「できるだけ長く白人の国でいるための最後のあがき」かもしれないともいう。
目下すったもんだしている英国のEU離脱も、同様の側面があるのだろう。
現在、欧米に吹き荒れるポピュリズムは、「疎外された人々や、グローバリゼーションの結果、失敗した人々の叫びではなく、世界における支配者から滑り落ちようとし、国内で数が減少している単一民族集団の意義申し立てである」そうだが、気持ちはわかるな…
「西洋の自死」のような主張も、また尤もだと思うから。



日本も同じ状況のスタート地点にある。
日本はマルサスの罠を突破した最初の非ヨーロッパ国であり、史上最も速いスピードで老いている国だ。
島国であることを幸いに長らく移民を受け入れず、ほぼ単一民族を保っていた。が、少子高齢化も極まり、ここにきて転換せざるをえない事情にある。経済は人口とだいたい双方向に働いているからだ。
もともとの日本人より移民の割合が多くなったとき、どうなるのだろう?

10月から増税。今回の2パーセントの増税分は、主に社会保障費に当てられるという。
目玉は少子化対策の幼児教育保育の無償化や来年からはじまる高等教育の無償化だ。もう貧しい家庭に生まれても幼稚園から大学まで学費の心配はなくなるというわけだ。
だからといって、子供が増える気はしないんだけど…

 

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