ロバート・ベイリーのプロフェッサーシリーズはこれでおしまい「最後の審判」

このシリーズは3作目の「ラスト・トライアル」で完結したのかなぁと思っていた。だって「ラスト」だし。
でも4部作だったのね。

 

最後の審判 (小学館文庫)

 

前三作を通しての敵、ジムボーン・ウィーラーをようやく刑務所送りにし、後は残された人生(主人公のトム・マクマーリーは末期の癌に侵されており余命が長くない)を生きるだけかと思いきや、ジムボーンが脱獄。
トムとその仲間たち相棒の弁護士リック、教子の黒人弁護士ボーらを標的に復讐を始めるのだった・・・
トムは病でもう身体が弱り切っているし、ボーも自分を見失っている。果たしてジムボーンに立ちむかえるのか、というオハナシ。

 

 

このシリーズはアマゾンレビューなどでも評判がよいのだけど、それは「善悪がはっきりしている」からじゃないかと思う。
ジムボーンはわかりやすく悪党で、トムとその仲間たちは善人だ。それがわかりやすくて、読んでいてすっきりするのだ。
おそらくは、極悪人のジムボーンにはジムボーンなりの悪党になった事情もあり、なんとな〜くそれもほのめかされてはいるが、そこには深くは立ち入らない。
彼の悪の根底に流れているのは、トムのような「恵まれた環境の者に対する嫉妬」なのだ。
日本も格差が拡大し、階級が固定化されようとしている昨今、身につまされることでもある。
そこに踏み込まないことに、残念に感じる方もいらっしゃるかもしれないが、多分それをやると焦点がボケてしまうのかな。
現実社会は二元論で片付けられることの方が少なく、ややこしい。立場や見方によって白にも黒にもグレーにもなることの方が多いから、余計にその明確さが良いのだろう。

もう一つ印象的なのは、末期の癌に侵されたトムの生き様だろうか。
もう手の施しようもない癌に侵されたら、私なら安楽死させて欲しい。でもトムは最後まで痛みと闘い、命を全うするのだ。
そろそろ老後や終活が他人事でなくなってきた身としては、その高尚さが身にしみる。

ああ、でも私はやはり安楽死させて欲しいなぁとか・・・
かつては長く生きることは美徳で尊いことだったが、それも揺らいでしまっている昨今、色々と考えてしまう。

結論としては最後は正義は勝つが、犠牲も大きすぎるくらい大きくて、それぞれが克服するに時間がかかるだろうという展開だ。

もちろん奇跡的にトムが癌を克服するなどという非現実的なkことは起きない。最後は誰もが想像する通り。
彼の亡くなった後の私の気がかりは、二代目ブルドッグ犬のリーロイだったのだけど、それは大丈夫そうでよかったわ。

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