犬好きのための読後感良いリーガル・スリラー「ザ・プロフェッサー」

自分が歳をとったせいか、最近は読後感のよい本のほうが好きになった。
グロいだけのもの、読んで嫌な悪くなるようなものは、もうあまり読みたくはない。
だから、「こういうのでいいのよ。」

 
ザ・プロフェッサー (小学館文庫)

主人公はアラバマ大学のロースクールの老教授トム。かつてアラバマ大のフットボールチームで全米チャンピオンに輝き、法学者としても確固たる地位を築き、大学別の模擬裁判大会では教え子を三度もチャンピオンに導いた。


そんな彼のもとに、かつての恋人ルース・アンが訴訟を起こしたいと相談を持ちかける。彼女の娘夫婦と孫はトレーラーとの衝突事故で死亡したが、ルース・アンは警察の事故報告書に納得していなかった。トレーラーがスピード違反をしていたのではないかと疑っていたのだ。
ところが、大学内の派閥争いによってトムの運命は激変してしまう。ほとんど難癖といっていい理由をつけて辞職を余儀なくされ、おまけに膀胱癌を患っていることがわかったのだ。


トムはルース・アンの件をかつての教え子のリックに託す。実はリックはトムの解雇の原因だった。模擬裁判の大会のとき、激昂したリックを諌めようとしたトムとのやりとりがユーチューブに流れ、大学側に問題視されたのだ。リックはリックでそのせいで大手事務所への就職を取り消されていたのだ…

訳者も言う通りミステリー要素はほぼなし。単に主人公(たち)が苦難を乗り越えて勝利するだけの話だ。でもこれが面白いのだ。
登場人物同士の確執や因縁、裏切り、友情、忠誠心などの人間関係が描かれているせいもあるが、一番は絶望の淵にあるトムが奮起するという再生の物語だからだと思う。

それから、なぜ「犬好きのための」とつけたのは、この物語の真のヒーローはトムの愛犬、イングリッシュ・ブルドッグのムッソだから。

このムッソが泣いちゃうくらいカッコいいのです!

もう少し敵の事情なんかも描いてあればもっと良かったかなという気もするけど、ああ、犬にはこういうところあるよね的な感動も味わえるし、自分だってまだまだ頑張れるとも思わせてくれるだけでも十分。

信頼関係というものの尊さという意味でも、犬好きさんに限らず、フットボールのようなチームスポーツをやっていた方にもおすすめ。


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