旅行前にDLして、ちびちびと読んでいた本。
本書もお値段は安かったが、良書だった。
世界で起こっている出来事がなぜ起こったのか、その根本を理解することができる。
いまさら言うまでもないが、宗教はいつの時代も争いの元だ。
最近でも、英国でイスラム教スンニ派のリビア系の若者がマンチェスターのコンサート会場で自爆テロを起こしたばかりだし、今度は、ロンドン中心部でイスラム教徒を狙ったテロ事件が起きている。
メイ首相も「もう、たくさん」と言っていたが、宗教嫌いなR・ドーキンスはさぞウンザリしていることだろう。ドーキンスのいうように「神は妄想である」と私も思う。それか、古代宇宙人だったとか(笑)しかし、今更だが多くの人の共通した妄想というのは莫大な力を持つ。
こうも争いが続けば、もう宗教いらなくね?とも思うが、人々にとって精神的にあまりに重要になりすぎているがゆえに、簡単にはいかない。
例えば、イスラム教徒に豚肉は美味しいから食べてみなよ?というのはイスラム教徒の人にとって冒涜以外の何物でもない。著者によれば豚がタブーなのは明確な理由がないそうだが、決まりは決まりだ。
とはいえ、タブーは魅力であるのもまた事実で、牛が食べられないヒンズー教徒の間では決して美味しいとはいえない水牛のステーキが流行っているのだという。実は牛肉を食べてみたいけれども、宗教に反するので食べられない。でも水牛はではないから食べてもOKだというわけだ。
ならば、酒が禁忌のイスラム教徒にノンアルコール飲料が「売れる」のではないか、と著者は提案しているのだが、どうだろうか。ノンアルコールといえども実はちょっとアルコールが入っているのだけれども。
ところで、今も激しい宗教戦争の中心にあるイスラエルは、ご存知のとおりユダヤ人の国だ。長年に渡る迫害や追放されてきたユダヤ人が、自分たちの「国」を作ろうといって作ったのがイスラエルという国である。そして、ユダヤ人というのは、人種や住まう地域、国家的なくくりを指すのではなく「ユダヤ教を信仰している人々」のことだという。
宗教が人間にとっていかに重要なものであるか、の一例だろう。
イスラエル問題や昨今のイスラム過激派によるテロを例にあげるまでもなく、宗教問題は根が深く厄介だ。
私たち日本人からすると、お互いの宗教をお互いに尊重し平和を目指せばいいじゃないかと思うが、そうは問屋がおろさない。キリスト教、イスラム教、ユダヤ教のそれぞれが「一神教」だからだ。つまり、神様は自分たちの神様だけだとお互いが主張して譲らない。しかも、他教を否定し改宗させようとするのだから始末が悪い。だいたいにおいて、彼らの神様が狭量で排他的なのがいけないのだ。
私たち日本人が他人の宗教に寛容なのは、元来「八百万の神」を信仰しているからだという。(※ただし、日本人は「八百万の神」と「仏教」の混合らしい)
日本人が、クリスマスだといって大騒ぎし、大晦日には神妙に百八つの鐘をきき、正月には神社に詣で、盆彼岸には先祖の墓参りをするのにもちゃんと理由がある。
中国を経由し入ってきた「仏教」が日本で独自の信仰をいかしつつ、ガラパゴス的進化(?)を遂げていったという考察も面白い。
それとともに、なぜ日本は韓国、中国と仲が悪いのも「宗教的背景の違い」によるものが大きいという。言われてみれば納得のオンパレードだった。
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