プリティ・ガールズ / カリン・スローター

GWのもう一冊、『プリティ・ガールズ』はカリン・スローターのスリラー。頭は使わない系(笑)
カリン・スローターは、昨年『警官の街』でエドガー賞候補にもなったことで、気になっていたのだ。せっかくなので、最新作を読んでみた。
リー・チャイルドが「本年度最高のスリラー」と賛辞をおくっているし。
 
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主人公はアトランタに住む裕福で美しい主婦のクレア。そのクレアの夫ポールが、路地裏で強盗に襲われて不慮の死を遂げてしまう。だが優しい夫には、クレアの知らない秘密があった。
保険代理店を調べるため夫のパソコンを探ったクレアは、そこに猟奇ポルノを発見してしまう。それは、鎖でつながれた若い女性が拷問を受け、レイプされ、あげく殺されるという悍ましいものだ。
動揺したクレアは刑事に相談するが、その血は作り物で、よくある二流ポルノに過ぎないと一蹴されてしまう。
しかしビデオに映っていた女性は、行方不明になっている美少女にそっくりで、血もとても作り物とは思えない。そしてビデオの彼女は姉のジュリアに似ていた。クレアの一番上の姉のジュリアは、24年前に行方不明になったままなのだ。
ポルノを発見した直後、クレアの元に突如としてFBIが訪ねてくる。夫のポールは事故死だったのに、なぜ、FBIが?
 

 

 
これが、読んでびっくりのハードさ…
 
主人公のクレア、クレアの姉のリディア、クレアたちの父親の手記によって語られるのだが、最初は状況がつかめずイライラする人も多いかも。
あえてやっているのか、技量の問題かは知らないが、癖があるのは確かだ。
しかし、群像劇だと思って少し我慢して読んでいれば、次第に全体像が明らかになり、著者が明かしたかったことも見えてくる。
 
なにがすごいって、クレアの豹変ぶりがすごいのだ。完璧な夫の知られざる面があらわになっていくというのがメインのストーリーだが、同時にクレアの(読者に対して)隠された一面もあわらになっていく。
 
『ゴーン・ガール』「結局、お似合いの夫婦じゃん!」と思ったけど、ある意味、クレアとポールもお似合いだ。
 
決着のつけ方も日本的な道徳にはそっていないため、賛否ありそう。
女性作家のものは概してそうだが、ダメな人はとことんダメなタイプの本かもしれない。
 

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