サイロの男ダンテと美人カラビニエリ、コロンバのシリーズ完結編「パードレはもういない」

イタリアン・ミステリー「パードレはそこにいる」「死の天使ギルティネ」に続く三部作の完結編。
パードレと名乗る謎の男にサイロに10年以上閉じ込められた壮絶な経験を持つ犯罪コンサルタントのダンテと、カラビニエリ(イタリア国家警察隊)のコロンバが主人公。

 

パードレはもういない 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
パードレはもういない 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ド派手でエンタメ性抜群。系統的には北欧ミステリの「ミレニアム」路線。
あちらは天才ハッカーで映像記憶力を持つリスベットと、雑誌記者のミカエルだったが、本書は男性のダンテがリスベットの役割で、女性のコロンバがミカエル的ポジションと、言うなれば男女入れ替え版。

ヴェネツィアが舞台の「カルニヴィア」とも同系統だが、あれよりは気持ち的にすっきりと終われる(笑)
「カルニヴィア」が、ちょっとモヤモヤするのは、終わり方もあるだろうが、ダブルヒロインだからだと思うのだ。そこが面白いと言う人もいるだろうが、片方はかなりなビッチ(苦笑)そういえば、そのビッチのカテリーナもカラビニエリ。

「パードレ・シリーズ」の場合、全てが繋がっている。だから、第1作目から読まないと意味をなさない。
お楽しみを削いてはいけないので、あらすじは割愛。

「パードレはそこにいる」は冒頭から猟奇殺人ドーン!という掴み抜群のスタートで、続く「ギルティネ」もありえないくらいの奇抜キャラ。
しかし完結編の本書がもっとも出来がいい。前作二つを綺麗に繋ぎ、且つ「おおぅ!」という驚きも周到に準備されている。
思い返してみるとヒントはあったのに、コロンバ同様、完全に騙されてしまった。

完全にエンタメ寄りだがテーマは割と重め。自閉症スペクトラムについての扱いや、戦争の民営化などについても興味深かった。

完結編とはいえ、実はまだダンテとコロンバのシリーズは続いていくのではないかと期待もしている。
なぜかといえば、著者が言うように「悪は滅びず」だし、肝心のダンテは何者なのかについてはまだ謎のままなのだから。
願い通り続くとすれば、おそらくコロンバは妊娠・出産しているのではないか。二人は微妙な関係だが、もちろんダンテの子供でではないという(笑)

また、ダンテはグルメではないもののコーヒー通で、作中にはペルーの希少なコーヒーが登場する。
聞いて驚くなかれ。これがなんとハナグマの糞から採取するコーヒーなのだ。ジャコウネコのコピ・アルクは有名だけどそのハナグマ版。

ダンテ曰く、「世界一希少なペルーのコーヒーで、トロピカルフルーツ、干し草、ブランデーの香りがする」とのこと。

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