暗殺者の反撃 / マーク・グリーニー

ヘタレと文句をいいつつも、実は「グレイマン・シリーズ」は全て読んでいる。

「暗殺者グレイマン」に始まるこのグレイマン・シリーズを読み始めたのは、翻訳ミステリー大賞コンベンションで、書評家の北上氏が声を裏返らせて絶賛していたからだった。
「とにかくアクションがすごい!」とのことだったのだが、確かにアクションもすごいが、それ以上に主人公のヘタレっぷりがすごかった。私的にはかっこいいよりもダメ男的分類。
ちなみに、北上さんは次の年からは「好きな人は好き!」とトーンダウンして絶賛していた。
 
 
主人公のグレイマンことコートリー・ジェントリーが、なぜグレイマンと呼ばれるのかというと、目立たず人混みに紛れることのできるその能力かららしい。
このグレイマンは元CAIの世界一の凄腕暗殺者で、CIAからは「目撃次第射殺」命令がさだれている危険人物なのだが、やたらお人好しだ。
毎回、見知らぬ人を助けるため戦いに巻き込まれて、大怪我を負ってしまう。
誰かが「こんなに感傷的な性格では暗殺者なんかできないだろう」と言っていたが、本当にその通り。ゴルゴ13なんかの真逆である。ただ、大怪我はするけど死にはしない。主人公だから。
 
しかもこの邦題のつけ方が安易すぎる。全シリーズ「暗殺者の〜」になっているが、暗殺者なのは最初だけ。
でも、もう今更やめられないし。
 
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言いたい邦題だが、念のためもう一度言っていくと、私は全巻欠かさず読んでいる。
 
ストーリーには国際陰謀も取り入れてはあるが、毎回「お人好しがもとで大怪我しちゃう」というパターンなので、もう、次からは読まなくてもいいかなぁと思っていた。

が、今回はよかった。

 
「暗殺者の反撃」はグレイマン・シリーズ至上一番面白い。
 
今回のテーマは、そもそもなぜ古巣のCIAから命を狙われているのか?なのである。
これまで4作品も出しといて今頃何いってるの?という感じだが、グレイマンはCIAの追っ手から逃げ回っていた5年間、その理由を知らなかったのだ。
 
「・・・」
 
大怪我したり、第三国で日雇い労働者に身をやつしたりし、ようやく「ん?なんで俺、狙われてるんだ?」と思い至り、それを突き止めようと祖国アメリカの地に舞い戻ってきたというわけなのだ。今更感満載だ。

なので、今回はアメリカ、それもCIA本部のあるワシントンDCがメイン舞台となる。そして敵は、実質的にCIAを動かしている本部長のカーマイケルであり、アクションシーンはシリーズ随一かもしれない。

映画「エンド・オブ・キングダム」のジェラルド・バトラーも顔負けだ。余談だがあの映画は前作も含めてジェラルド・バトラーをかっこよくみせるためだけの映画だ(嫌いじゃないけど)
 
 

 

と、、、、本書ではグレイマンの最大の謎が解決する。
 
「やったね、有終の美を飾ったね!」と思いきや、なんとまだ続くらしい。

シリーズものはとかく、「あの時終わっておけば・・・」というものが多いが、そうならないといいけれど

しかし、マーク・グリーニーは書き進めるたびに上手くなっているのも確かなので、複雑な気持ちで期待している(笑)
 
 


 
 
 

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