潰すだけの身上がない人の趣味

よく何かしら趣味にのめり込むと「身上をつぶす」というが、つくづく趣味というものは、お金がかかるものなんだなと思う。
もちろん、お金のかからない趣味というのも世の中にはたくさんあるけど、かかるからこそ楽しいという部分は絶対的にある。
茶道具などはその最たるものじゃないのかな。蘊蓄の楽しさなども含めて。

さて、一時期やめていたが、また最近KindleUnlimitedを始めた。
一種のサブスクで、一部のアマゾン電子書籍が読み放題になるものなのだが、それでふと「神の雫」を読み始めた。
普段、漫画は読まないので、これまで読んだことがなかったのだ。

いやぁ、ワイン紹介漫画として、かなりよくできている漫画ですよねぇ!

  

結構ハマってしまって、合本というやつを最後まで読んだ挙句、続編である「神の雫 マリアージュ」まで読破してしまった。これも読み放題だったからw
ジムでエアロバイク漕ぎながら読むのに最適だったのだ(この無駄な?運動分で発電できればいいのにといつも思う)

そこで「気持ちだけ」どっぷりとワインの世界に浸ってしまった。あくまで気分だけなのが悲しいが、私のような頭でっかちな人は、まず「飲む」より「読む」のだ。
もう、読み放題のラインナップにあるワイン本では物足りない。

やはり身銭を切らないとダメなんだなということで、よかったのが、「ワインの授業」フランス編イタリア編があり、今はフランス編を熟読中。

  

同時進行で、「神の雫」に登場したワインなどをネット検索してみるのだが、これが高くてびっくりしてしまう。
これまで安物しか飲んでないし、特に赤ワインを飲んでないので、心の準備ができていないせいもある。
通の方に言わせれば、「それくらいの価格は当然!」なんだろうけど…
加えて、このところの円安+原油高+欧米のインフレ等のせいで、本で紹介されている価格よりもガッツリガツガツ上がっている。

漫画の中では、主人公たちは高級ワインを連日ビールを飲むかの如くガバガバ飲んでいるのだが、財政状況どうなってるんだ疑惑と健康診断的にやばそうなw
ワイン業界の重鎮が超高級ワインをガバガバなのはともかく、主人公は一介のリーマンなはずで、いかに特殊事情があるといえども、庶民には到底真似できない。

ブルゴーニュの村名ワインなどは、もう私にはなかなか勇気のいるお値段になってる。
家飲みならば、これに合わせるのは自分のしょぼい手料理になるわけで…しかもマリアージュ的に失敗の可能性もなきにしもあらず。
しかし、この価格帯のものをレストランで飲むとなると、定価の2〜3倍程度は覚悟しなければならないわけで…
お財布と自分の好みや安定感を勘案すると、シャンパーニュを一本とって、キャパのない私はそれでもう終了。
昔は1本くらいは飲めたはずなのに、肝機能が衰えたせいか2杯にしておかないと翌日に響くので、連れはグラスでオーダーしてくださいになってしまう。
それぞれの皿に合わせたペアリングも流行っているけど、あれは私には全然無理だったw

「神の雫」とその続編を通読して思ったのは、ワインを知るには、向学心はさることながら、強靭な肝機能と優れた嗅覚と味蕾、ちょっとやそっとでは揺るがない経済力が必須条件なんだなということ。条件厳しすぎw
加えてメガネと文学的素養を身につけて、一口飲んで「おおぉぉ…」と言えれば、あなたも遠峰一青!
肝臓だけじゃなく膵臓までも強靭じゃないと早死してしまうけども。

あと、最初のシーンでオーパスワンと安旨で人気になったモンペラが比較されてて、モンペラの方がうまいと言ってたけど、いやぁ、私は断然オーパスワンだと思うけどなぁ。
ものの価値が決して価格だけじゃないのはわかっているけど、資本主義が成熟し浸透しまくっている世の中、「安い」にも「高い」にも納得できる理由があるのも事実。
この漫画で一躍スターダムに躍り出た安旨のカサーレヴェッキオも、なぜ安いかと言えば生産者の経営努力もさることながらコスパのいい品種のぶどうを使い、かつ大量生産できるからだし。

地球温暖化による欧州の旱魃等、ワインの産地の気候も今後は厳しくなるだろうし、もっともっと値上がりすること必至。
ちょっと興味のあるワインに手が出せるのは今のうちかもしれないなぁ。

潰すだけの身上がない人の趣味は、諸々悩ましいのだ。

 

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