ゴーストマン読書会@熱海 de ポン!

はい。私はすっかり忘れてました。
“あたぽん”(千葉名古屋横浜読書会合同熱海合宿)で読書会が開催されるなんて。
しかも自分が『ゴーストマン』に申し込んでいたなんて・・・。

読んだのは三ヶ月前、内容もすっかりさっぱり忘れているし、当然、課題本も持ってきていない。

あるのは読みかけの『フラッシュ・ボーイズ 』を落したKindleオンリーで、もう、焦りまくり。
しかし救いの神というのはいるもので、なんとゴーン・ガールに参加するTさんが偶然『ゴーストマン』を持っていたのでそれを拝借。
慌てて会場へ入ると、田口センセも担当編集の方も、他の皆さんももうとっくにお揃い。

要するにまたまた遅刻したわけである。皆さんゴメンナサイです。

     
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人数は25名くらいだっただろうか。横浜ではいつも飲み屋でやるので、会議室の読書会は久しぶり。お酒がないのも久しぶり。

◆前評判の割にそれほどじゃなかった。
◆ストライクゾーンじゃない。再読はない。

はっきりきっぱりとしたご意見で・・・
聞くところによると、先日札幌読書会で読書会をやったときにも、「好きくない派」が多数だったのだそうだ。

◆映像的でテンポが良い
タイムリミットものということもあり、ドラマ「24」みたいだという声もあった。
また映画化の話題でも盛り上がった。
既に映画化権も売却済みと聞くが、カメラワークは難しそうだ。主役の”私”ことゴーストマンを誰が演るのかというのも実際問題難しいと思う。顔を映さないで撮るか、若しくは色んな俳優さんが演じるといいのでは?というアイデアも出た。

◆とにかくカッコイイ
文藝春秋の永嶋さん曰く、本書の良さはカッコよさに尽きるという。
この大人の男のカッコいいVoiceを本にしよう!と思い、田口さんに翻訳を依頼したのだとか。文体はトム・ロブ・スミスより上だと断言していたが、トム・ロブ・スミスは相当だが。

また、カッコ良さが売りの主人公も久しぶりであるという。
確かにこれまでは、多くが疲れた中年のオヤジばかりで、「渋さ」という囲いでミステリを限定してしまっていた感がある。だからこそ、余計に新鮮味が感じられるそうだ。

私自身はこれを読んだ時に、ダークヒーローは久々だと新鮮に思った。しょぼくれ中年の警官の主人公ばかりという状況に食傷していたのだ。
流行が一巡して、ようやくダークヒーローの時代が回ってきたという感じもする。

思い出したのは楡周平氏の『Cの福音』の朝倉恭介(←誰もわからない喩えでごめんなさい)。
彼はブラウン大卒のインテリで、朝から裸でシャンパンを飲むという今みれば痛いキャラなのだが、なにせ20年以上も前のことだ。その時は、インテリだけどダーティーな一匹狼で、贅沢だが危ない世界に住んでいるキャラというのはかっこよかったのだ。

◆でもちょっとダサかったりしない?
スタイリッシュでクールなのだが、実はところどころダサいところもある。
まず、アトランティックシティというのはかなりイモい。
行かれたことのある方は分かるだろうが、ラスベガスの洗練には比べるべくもない。その分襲いやすいのだろうが、銀行強盗というのもアナログだ。

また、ゴーストマンという役割はいうなれば、「何でも屋」であり、その”なさけなさ”にハマったという人もいた。

◆レベッカ=アンジェラ説の真偽は?
私は密かに、レベッカは実はアンジェラなんじゃないかと疑っていた。
なので、どこかでパッションフルーツ(アンジェラの体臭)が香ったりしないかなぁと、目を皿のようにして探したのだが見つからなかった。
発見できた共通点は、煙草を吸うということと、歪んだ笑顔だけ。
それにクアラルンプールの件には、「私」にも読者にも伏せられていることがあるのではないかと思えてならない。

気になったので、フライングで永嶋さんに伺ってみたところ、「その説は非常に濃厚」だという。

おお、さすが私ではないか。
スルドイ読者というやつやん!

とはいえ、著者は「否定も肯定もしない」らしい。永嶋さんは肯定派だったが、田口センセは、「ホッブスはまだ何も考えてないだけじゃないの?」とのこと。

・・・何も考えてないのかな?

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書記の方は、字もお上手だけど絵もうまかった。

 

◆戦闘シーンはイマイチ?
366ページのスリーパー・ホールドは無理じゃないかという意見もあった。

ー私はそのときを逃さず、男に飛びかかって男の首に腕を回すと、もう一方の腕の肘を男の背骨と頭の間に押し付けた。そしてそのまま十秒、力を加えつづけた。

何が不可能なのかよくわからなかったのだが、実演していた・・・
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まあ、ホッブスはマーク・グリーニーじゃないから仕方ない。

この『ゴーストマン』では、”私”の生い立ちは殆ど語られず、最後にわずか一行、母親の死に触れているだけにとどまっている。これがまた心憎いほどのテクニックなのだが、なんと、“生い立ちを描いた短編があるそうだ。

これがまたいい出来なのだそうで、「文庫になったときに収録しようかな」とかふざけたことを言っている。
高い単行本を買わせておいて文庫まで買わせる気かよ?

単独でKindleで販売してくださいよ・・・

 

 

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