安いには理由がある「怖い中国食品、不気味なアメリカ食品」

2013年の週刊文春の特集記事の中国猛毒食品キャンペーンを元に追加取材をし書籍化した本。

怖い中国食品、不気味なアメリカ食品 (講談社文庫)

中国産の食品が怖いのはもはや周知の通り。この本の中でも中国食品業界への潜入取材によってその衛生観念や絶望的なモラルの低さが指摘されている。
2013年の取材だが、あれから何が変わったとも思えない。実際、先日も学校給食に腐った肉が使われていたことがニュースになっていたばかり。中国人だって中国食品を危険だと思っているのだから、もうどうしようもない。

中国食品と同じくらい危ないのが実はアメリカ食品。その筆頭は「遺伝子組み換え作物」。長期的に摂取し続けるとどうなるかは誰にもわからない。
日本はトウモロコシ、大豆等々の遺伝子組み換え作物を、大量に輸入している超のつくお得意様だ。

ただ、高級スーパーはもちろん、私のような庶民がいくチェーン系列も「中国産」や「遺伝子組み換え食品である」という表示を目にすることはまずない。

だからといって、私たちが安全かといえば決してそうではなく、危険食品は我々の食生活に深く入り込んでいる。

もっともわかりやすいのが外食や中食だろう。
デフレも相まって日本の外食は先進国屈指の低価格だ。消費者の側もそれに慣れてしまっているが、なぜそれほど安く提供できるのかを考えればおのずと答えはみえてくる。
例えば牛丼。日本では禁止されているホルモン剤を投与され育ったアメリカ産牛肉はそれだけで危険だが、牛丼の材料となるクズ肉は、その上に腐食剤漬けにされているという。
安い定食や弁当に入っている煮物の根菜などは、国産だと価格と折り合わない。その実業務用の冷凍根菜はほぼ中国産。対日本の野菜、肉の輸出量を考えれば、謎でもなんでもない。

小麦も安全とは言えない。輸入小麦はその輸送過程でカビが発生しやすいため、輸送途中で人体に有毒な防カビ剤が振りかけられ、その毒性が消えぬまま日本に輸入されているという。
昨今は高級食パンブームだが、その有名店も輸入小麦を使用している。というか使わざるを得ないのだろう。日本で消費される小麦の9割が輸入小麦なのだから、当然の選択だろう。
なんのかんの言っても、地産地消が一番安全なのだと改めて思う。

この間、一斤6500円のパンというのをテレビで紹介していた。純国産の厳選した素材を使っているとのことだったが、そんなのを日常的に購入できるのは限られた人にすぎない。

最近ちょっと驚いたのは、ゴマの価格だ。
普通のゴマは50gで200円程度で売っている。昔からある老舗有名メーカーのものだ。でも、よくみるとそれには産地が書いてないのだ。書いてないということは国産ではないということだろう。別にメーカーが悪いわけではなく、いりごまは加工品にあたるためそもそも原産地の表示義務がないのだ。
国産はないのかとスーパーを回り、ようやく有機食品コーナーに「鹿児島県産ゴマ」というのをみつけたが、お値段800円也。

安全は高くつく・・・
そして「安い」にはそれ相応の理由がある。
庶民が危険食品を完全に排除することはもはや不可能に近い。中国食品はもちろん、不気味な遺伝子組み換え食品も、大豆加工品やコーン油、ジュース、菓子といった形で知らずに摂取している。
さらに「食育」を担う学校給食にも中国産が使用されているというのだから、事態は深刻だ。

著者も指摘するように「食の安全」ということを考えると、日本はもっと自国の農業や食料自給率に目を向けるべきだと強く思う。
それに、安い農作物というのは、国家にとっては武器に等しい。実際、それはアメリカの国家戦略なのだそうだ。安価なGM作物は、その国の食料生産を潰す。競合国よりも安いその価格は、安全性を犠牲にし、アメリカ政府の金をつぎ込み実現したものだ。一旦農業が壊滅した国は、もう売ってくれる国のいいなりになるしかない。
その実、すでに日本の穀類の9割はもうアメリカ産によって占められている。
ちなみにイギリスの農業は補助金によって成り立っている。その割合は実に農家の収入の95%。そこまでする価値があると認識しているからだろう。

 

 

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