獣狩り / スチュアート・マクブライド

最近はもうKindle版しか読む気がしない。便利なものに慣れたせいか紙をめくるのが面倒くさい。
ということでDLしたのが、ハーパーコリンズの『獣狩り』だ。

ハーパーコリンズは、ダニエル・シルヴァの『亡者のゲーム』がとても良かったので好印象を持っているが、ラインナップをみると、ハーレクインとかオタク女子向けの漫画チックなラノベとかが多いみたい。

 

さて、本書は英国の人気作家による警察小説である。実は私はあまり警察小説をあまり評価していない。だって、ワンパターンだから。
でもディーヴァーのリンカーン・ライムなどは例外で結構好きなのだ。本年度の新刊『スキン・コレクター』なんかは久々のヒットだった。ディーヴァーはやっぱりいいなぁと思う。

さて、本書の舞台はスコットランドのオールドカースル。(オールドカースルは架空の街)
この街では9年前から「バースデーボーイ」と呼ばれる連続殺人鬼による犯行が続いている。毎年、13歳の誕生日を目前にした少女が拉致され、1年後の誕生日に両親の元にその姿を撮ったバースデーカードが送られてくるのだ。
両親は、そのカードが届いてはじめて自分の娘が「バースデーボーイ」の被害者だと知るのだ。そしてどこに引っ越そうがカードは毎年必ず届いた。

警察も必死に捜査しているものの、未だ手がかりにつながるものは発見できずにいた。主人公のアッシュ・ヘンダーソンもその捜査チームの一員だ。だが、彼には秘密があった。
「バースデーボーイ」の犯行は、公式には途中1年の空白があったが、その年の被害者はアッシュの娘レベッカだったのだ。公になれば捜査から外されるため、彼は妻にも上司にも同僚にもひた隠しにしているのだった。

そんな事件に新たな展開がみられる。少女たちの遺体が郊外で発見されたのだ。
アッシュは、新任の女性心理学者ドクター・マクドナルドとコンビを組んで捜査をすることになるのだが・・・

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結末はちょっと拍子抜け。
しかし、本書の特徴はアッシュ自身が大いなる秘密を抱えており、一筋縄ではいかないキャラクターだということだ。

アッシュは事件を追う一方で、金を工面するためにゆすりやたかりのようなことにも手を染めるし、ルールも平気で破る。
ドクター・マクドナルドはアッシュという名に、「地獄の業火や悲鳴」を連想させるといっているが、彼の人生はその通りなのだ。

相棒となったドクター・アリス・マクドナルドもまた強烈なキャラクターだ。
ことあるごとに、自分の貞操を心配する彼女と「安心しろ、君は俺のタイプじゃない!」といった二人のトンチンカンな会話は、ダークでハードな物語を少しだけ和らげてもいる。

手に汗にぎる展開にあっという間に読んでしまったが、最後の最後でおあずけを食らってしまった。というのも、海外ドラマでよくあるように、「ええ、ここで終わるの?!」という終わり方をしているのだ。

それもそのはずで、どうやら続きがあるらしい。次作も来年ハーパーコリンズから刊行される予定らしいが、こちらのほうが評価は高いようだ。

しかし、どうして「獣狩り」なんていうダサいタイトルにしたのか。

 

 

 

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