ラスト・ウィンター・マーダー/バリー・ライガ

 

  

主人公は南部の田舎町ロボス・ノッドに住む17歳の少年ジャスパー(ジャズ)・デント。
彼の父親のビリー・デントは21世紀最悪の連続殺人鬼と称されているソシオパスので、父親から殺人の方法や殺人者の考え方を叩き込まれて育った。
血統も育ちもアウトなジャスは、自分の中に眠る「怪物」に密かに恐れを抱いているが、親友と恋人の存在が彼の救いになっている。
 
「さよなら、シリアルキラー」では、その生い立ちを生かし、「生まれついてのプロファイラー」として活躍、続く二部の「殺人者たちの王 」では、父親が脱獄、そしてこの三部の「ラスト・ウィンター・マーダー」では、さらなる衝撃の真実が明らかになる。
 
しかし、そこはジュブナル。「ああ、こんな風に終わってしまうのか」ということにはならない。
これを読んでいて思い出したのは、クリミナル・マインドのあるシーンだ。どのシーズンだったか忘れたが、リードとホッチが重警備刑務所を訪問した際、リードが凶悪なサイコパスの受刑者と二人きりで閉じ込められてしまうのだ。
その受刑者にものの5分も隙を与えればリードを殺すことなどわけはない。その時、リードは時間稼ぎをするため、「なぜ、その受刑者はそういう罪を犯さざるをえなかったのか」ということを、両親の犯罪歴や精神病歴や育った環境を例に挙げて説明する。かくしてリードはことなきを得るのだが、サイコパスの彼らとて、自分たちがなぜ罪を犯さずにおれないか、ということに興味があるのだ。
 
それとジャズの苦悩とは、また全然別なのだが。
 

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