アラスカ戦線 / ハンス=オットー・マイスナー

予定が合わず、しばらく読書会からは遠ざかっていたけれど今月は出られそう。

その課題本が本書なのである。
 
なんでも、新版がでているらしいだが、私が読んだのは古い文庫のほう。購入した覚えも読んだ記憶も全くないが持っていた。訳者も同じ松谷健二氏だしこれで済ませよう。
 
舞台は第二次世界大戦時のアラスカだ。
第二次世界大戦を舞台にしたものは、最近では「ユナイテッド・スイテイツ・オブ・ジャパン」を読んだが、雲泥の差ではないか。
 
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ストーリーは、日本軍の日高少尉とアメリカ人の野獣監視員アランの男の対決がメインである。
1942年、日本軍はアメリカ本土攻撃の足がかりとして、アラスカのアリューシャン列島のはずれのアッツ島を占拠する。本土攻撃にはアッツ島から爆撃機を飛ばす必要があるが、アラスカの天候の悪さがそれを邪魔する。
そこで、日本軍はオリンピック十種競技の銀メダリストの日高大尉に白羽の矢を立てる。彼自身が選んだ精鋭の部下とともに敵地アラスカの北側から気象情報を通信するのだ。
敵国の動きを察知した米軍のハミルトン将軍は、名うての野獣監視員アランに敵の追跡を託す。かくして、苛酷な大自然の中での戦いが始まるのだが・・・
 
 
著者のマイスナーは大の親日家なのだろう。だいたい外国人による日本人像は見当違いなものが多いのだが、日本人や日本の文化について造詣が深いのだ。
だが、それでいて一方にだけ肩入れするわけではない。日高とアラン、日本側とアメリカ側どちらをも平等に公平に描かれてもいる。だからこそ両者の対決は盛り上がる。
敵ながら互いに敵の資質を認め、ある種の尊敬と親近感さえ感じさせるというのは、「ジャッカルの日」のジャッカルとルベル警視さながらだ。
 
戦時の残酷さや過酷さも描いてはいるものの、スポーツマン的であり「最大のライバルは最良の友」といった感満載なさわやかさ。こういうのは男性諸氏は好きなんだろうなぁ。私も好きだけど。
自爆テロやら暗殺やらいろいろある昨今、ラストはちょっと綺麗すぎる感もなくはない。だがフィクションなのだし良いではないか。冒険小説にとっては読後感というのも重要なポイントなのだ。
 
herd moose 
 
northern lights
ただ一方で、この本は普通のアメリカ人にはどのように迎えられたのだろうかとも思ってしまう
マイスナー自身は上流階級のドイツ人らしい。日の丸のもと日本軍が無謀な戦争を起こしたことにも触れてはいるが、アメリカだって先住民から土地を奪って建国し、彼らの大多数を殲滅させたことにもチクっと触れてもいたりするのだから。ま、事実なんだけども。
 
また、極寒の地アラスカでのサバイバル術の描写も生々しく目を見張るものがあるが、案の定、マイスナーはアラスカで先住民とともに半年にわたって狩猟を続けたことがあるのだという。何事も百聞は一見にしかず、なのだろう。

ヘラジカや熊を仕留め、その皮を剥いで靴や服を作ったり、現地にあるものだけでテントを張ったりという先住民の技術はかなり読み応えがあった。
狩猟はともかくとして、アラスカのオーロラは見てみたいな。
 

 

 

 

 

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