大田産業プラザで開催された翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンションに行ってきた。
風邪気味で血圧も高かったので正直どうしようかなと思ったけど、しばらく読書会関係にも参加してないし、調子が悪いようなら途中で帰ればいいやと思って足を運んでみた。
で、結局最後までたっぷり楽しませていただきました(笑)
「七福神」でふりかえる翻訳ミステリーこの1年
このコーナーの北上さんと杉江さんの掛け合いが一番面白かったりする(笑)
それにしても毎月毎月かなりな数の本が出版されるから、プロといえども読むのも大変だろうな。
上記の他に個人的に面白いと思ったのは、吉野さんが8月に挙げていたJ=C・グランジェの「通過者」
この本の版元はなんとTAC出版!
資格の学校のTACの出版社ですよ。最近は資格関連本にとどまらず、BLOOM COLLECTIONというブランドで翻訳小説の分野にも進出しているらしい。
グランジェの新作だし、このミス入りしても全然おかしくないくらい面白いのに、そこまで注目されなかったのはちょっともったいない。
翻訳ミステリー大賞発起人鼎談
発起人お三方プラス司会の杉江さんによる、翻訳ミステリー大賞のこの10年についてのトーク・コーナー。第1回目の翻訳ミステリ大賞は、故東江一紀さんの「犬の力 」だったとかで感慨深い。
そういえば、このコンベンションも以前は東大近くの古い旅館でやっていた。
きしむ階段を降りたところにある大広間は当然のように畳敷きで、そこに座布団が引かれていたっけ。
今より規模は小さかったけど、地方の方向けに宿泊とセットになっていたせいもあるのか一般の参加も多かった気がする。
発起人のお三人にとってのエポックメイキングな作品や、今後の展望ついても語っていただいた。
越前敏弥さんは何といってもエラリー・クイーン作品。
地方の読書会にも積極的に顔を出されているそうだ。古典の新訳には今後も意欲的に取り組んでいきたいとおっしゃっていた。
白石朗さんにとっては、大賞受賞作でもある「11/22/63 」。
もともと好きだったSF要素のある作品を手がけることができたのは幸福な時間だったそうだ。
田口俊樹さんは、曰く「とにかく多くの作品を手がけたなぁ」とのこと。
下訳の方の手助けあってのことでもあり、多くのお弟子さんを育てたということでもあるのだろう。
また、より純文学的作品に送られる「日本翻訳大賞」との違いに触れてこうおっしゃっていた。
「僕は翻訳をする時に完全に読者よりに立って訳すようにしています。純文学の作品は、よく分からない部分をも含めて原文の意図を尊重すべきで、どちらかというと作家のほうを向いていると思う。でも、エンタメ作品に関しては、より面白くしてやろうと心がける。それがエンタメと文学作品の翻訳の違いだと思うんです。」
この言葉に東江一紀さんの名訳ニール・ケアリーのシリーズを思い出す。
彼の翻訳でなければウィンズロウが日本でこんなに人気を博すことがあったのかなぁ。
第7回出版社対抗イチ押し本バトル
フランス短編小説コンテストの授賞式を挟み、早川書房、パーパーコリンズ・ジャパン、小学館、集英社、東京創元社の編集者の皆さんによるビブリオバトル。
白熱のバトルを制したチャンプ本は、、、
早川書房の「ロング・ウェイ・ダウン」でした!
ちなみに文藝春秋社は代打で杉江松恋さんがやったのでノーカン。
読者賞&翻訳ミステリー大賞
続く読者賞と翻訳ミステリー大賞は、、、「カササギ殺人事件」のダブル受賞でした!
フーダニット強し。
おめでとうございました!
コンベンション後は居酒屋でカンパイ。今年は横浜読書会の人も少なくてさみしかったけど、お疲れ様でした。
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